shortnovel〜sweet〜
□罪の季節
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秋が終わり、冬が始まる
指令室の外は茜色に色ずき
澄みきった夕焼けの空は秋の終わりを告げている
町を見下ろせば買い物帰りの婦人に友達に別れを告げる子供たち
ちらほらと帰路に着いた軍士官の姿も見える
不可解な事に、こんなのどかな風景はなんとも自分が人間兵器でありながらただの人間だと、己がここにいることを証明された心地になる
そんなこと、思ってしまってはいけないと言うのに
あっというまに彩色の消えた空
ガラスには、孤独な自分が映る
その光景は正しく暗闇に1人居るように錯覚させる
そらしたい筈の目はそらせない
いや、そらしてはならない
己の犯した罪
そのための罸
これが自分が選んだ道
自分が追い求めた真意
国民のために、そして
彼女のために
それでも私は愚かな人間
散々傷つけた君を求めてしまう
私が求める事で君が傷つくのは分かっているのに
きっと君は優しい人だから、自分が傷つくのもいとわない
私はそんな優しさに甘えてるんだ
今はもう見ることのない、会ったばかりの君の天使のような笑顔を思い出す
懐かしいな
そんな君のしぐさを愛しいと思ったのはいつからだったんだろう