shortnovel〜sweet〜
□たまには
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「ふわぁ〜っ!」
誰もいない昼下がりの執務室で、ようやく終わった書類を前に大きく伸びをした
長時間の同じ体制により固まった関節がかすかに痛い
「中尉ー?」
いつもなら案件が片付いたとたん予測していたかのように、いや、実際は予測していたのだろう。
やってくる中尉の姿が、今日に限っては現れなかった。
珍しいな、忙しいのかな
ゆったりとした足取りで執務室の扉に手をかけ、オフィスに顔を出した
いつも騒々しい男どもは視察だろう。
空っぽのオフィスを眺めていると、扉の影から、クゥーンと言う声が聞こえた
扉を少し引いて身を乗り出すと、中尉の愛犬が耳をたらしてゆらゆらと尻尾を振っていた
「やあ、ブラックハヤテ号」
「ワン!」
「君のご主人はどこかな?」
「ワンワン!!」
どちらとも言えない返事に顎に手をあて考える素振りをした。
ハヤテ号を置いてったと言うことは、そこまで遠くに行ってはないか
ハヤテ号の頭を軽くなでつけ、
ついでにお座りっと言ってみるが、首を傾げるだけのハヤテ号に苦笑いをした。
どうも彼は私の命には従わないな、犬なのに
うーんと悩ましげな卯なり声をあげ、オフィスを後にした。