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□じゅりれな
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「あの、これ落としましたよ。」
いきなり話しかけてきたのはすごいキラキラな笑顔の女の子。
その子の手には私のものだと思われるハンカチ。
急いで確認してみるとポケットから落ちちゃったみたい。
「あ、ありがとうございます。」
人見知りな私は正直、はやく会話を終わらせて電車に乗り込みたい。
「…なんか会ったことあります?」
「へ?」
あれ、私こんなに綺麗な顔の知り合いいたっけな…?
ぐるぐる考えてると目の前の女の子が突然笑う。
「あー、もう考えなくても大丈夫です!ちょっとしたナンパだったんですけど…。このあとお茶とかどうですか?」
苦笑いだったり、きりっとした顔だったり、いろんな表情があって面白い子だな。
そんなことを思ってるときりっとした顔がどんどん不安そうになっていく。
「ふふっ。」
耐えきれず笑っちゃった私にまゆげを八の字にして、女の子は首をかしげた。
「え、なんで笑うの!おかしかった?」
「んー、別におかしくないですよ。」
八の字まゆげのショボン顔にちょっとだけ好感。
答えを待つ姿はさながらわんこだ。うん。
「このあと学校なんですけど、サボってよかったって思えるくらい楽しませてくれますか?ちなみにさぼるの初めてだからハードルは高いですよ。」
私からの遠回しなOKサインに気付いたその子は太陽みたいなキラキラしてる笑顔を見せてくれた。
「絶対後悔させないから!」
「じゃあ、今日1日楽しませてください。」
道路の真ん中でぴょんぴょんと跳ねるのはちょっとだけやめてほしい。
あぁ、笑顔がまぶしくて見れない。
「ねぇ、名前は?」
「玲奈っていいます。こっちも名前聞いていいかな?」
「んー、やだ!!」
初めて聞いた否定の言葉。
ぽかんとしてる私の目を見て話し出す。
「んとね、今日1日楽しかったら帰り際に名前と連絡先聞いて?こんな可愛い玲奈ちゃんに名前呼ばれてたら好きになっちゃうかもしれないし、期待しちゃうもん!だからまだ教えない。」
あなたのその少しの切なさを持った笑顔に目が釘付けになりました。
end