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□じゅりあい
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「聞いてないんだけど。」
「え?」
急にやってきて挨拶の前の一言がこれ。
ちなみに珠理奈さん。
「聞いてないんだけど。」
復唱。
「えっと、なんのことですか?」
聞いてみてもただ睨まれるだけ。
いや、可愛いけど!可愛いけど!?
「なんでいってくれなかったの。」
あ。
わかった。
「卒業、ですか?」
そう言うと珠理奈さんの肩が揺れてみるみるうちに涙目になってくる。
「ちゅりには年末に言ってたって言うし。どうせにししとか玲奈ちゃんは知ってるんでしょ?なんで言ってくれないの?」
珠理奈さんを傷付けないようにしたのが裏目にでたようです。
「えと、あのー、すいません、はい。」
「メンバーがファンの人に教えてもらうって何?あいりんにとって私ってそんなもんだったの?」
珠理奈さんの瞳から涙がこぼれる。
あ、泣かせちゃった。
「珠理奈さんを傷付けないようにって思って…。」
もう何言っても無駄だ。
言い訳にしかならない。
「…あいりんもそうやって私を置いていくんだ。」
このセリフだけは言わせたくなかったのに。
あぁ、もう自分のばか。
「珠理奈さん。私ずっと珠理奈さんに言いたいことがあったんです。聞いてくれます?」
「…いいよ。」
覚悟を決めろ。
頑張れ、古川。
「私、SKE48に入ってからいままでずっと珠理奈さんが好きです。これから会えなくなると思いますが、良かったら付き合ってくれませんか?」
噛まずに言えた。
声は震えたけど大丈夫。うん。
ちらっと珠理奈さんを見たら号泣でした。
「え!ちょ、え、珠理奈さん!?」
「なんで今言うんだよ、あいりんのばか!!!」
「えと、すいません?」
「会えないとかやだもん。」
あ、可愛い。
じゃなくて。
「あー…。」
「どれくらい会いに来てくれる?連絡してくれる?」
「最低でも月2は…!!連絡は毎日でも!あ、でも珠理奈さん忙しいから週1…?」
「会うのは月3!連絡は毎日じゃなきゃやだ!!」
ほっぺたをふくらませている珠理奈さんを見たらあぁ、まだ幼いままなんだなと思った。
「それを守ったら付き合ってくれるってことですか…?」
「守るでしょ?」
「よ、喜んで!」
「ん、それでいい!!あ、でも、卒業言わなかったこと許してないから。」
「え、許してくださいよ!」
へにゃっと笑う珠理奈さんを見て付き合ったことを思い出してにやにやする。
「あ、あいりんニヤニヤしてる!へんたーい!」
「珠理奈さんが可愛いのが悪いんです!」
「え?」
「あ。」
このあとニヤニヤしながら珠理奈さんに質問攻めされたのはまた別の話。
end