短編

□毛布
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この時期は冷え込みが増していって、室内でもかなり寒い。


それなのに、衛は家の暖房を点けようとはしなかった。



「まもちゃーん!寒い!」


「あぁ…」

小説に集中している彼をどうにかして気を引こうとしているうさぎ。

「暖房使うよ?」


「ダーメ」

うさぎが問いかけても小説に集中仕切っている。

「じゃ、どうすりゃいいの⁉」

うさぎが少しムキになってきた。

「……」
しかし、物語に入り込んでしまっている彼には声が届かなかった。


「もぅ、知らない!」

うさぎは寝室の方へ行ってしまった。


毛布にくるまり拗ねるうさぎ。
衛のベッドからはやはり衛の香りがして落ち着かない筈がない。

うさぎがウトウトしてくるのも無理はない。


しばらくして、静かなことに気付く衛は自分のことを思い返して苦笑した。


また、やってしまった。と、思いうさぎの機嫌直しに寝室へ足を運ぶ。



ガチャ…


開けて目に飛び込んできたのは、毛布にくるまって寝るうさぎ。


ここまで俺は放置してしまったかと後悔する彼。


ベッドの端に腰掛けるとうさぎの規則正しい寝息が聞こえる。


「うーさ」

ピクッと反応するうさぎだが、また寝息をたてている。


「うさ?」


衛は今度は俺が放置プレイかよと思いながら色々話しかける。


「うさ、ごめんな」

「うさぎさーん」

うさぎのほっぺをツンツンしながら問いかけても寝返りを打つだけで、一向に起きない。


「はぁ…」

しょうがないな、と溜息を吐きながら衛はうさぎを背後から抱きしめる形でベッドで横になりながら
毛布に入っていく。


それで目の覚めたうさぎ。


「…ん……まもちゃ…」


「 ごめんな…うさ」

衛は強くうさぎを抱きしめる。

「うん。」

「ねぇ。まもちゃん」

「ん?」


衛はうさぎの髪にキスを落としながら答える。



「こうしてるとあったかいね!」


「そうだな」

うさぎの体制を向かい合うように変えさせ、額にキスをする。


うさぎはくすぐったいというような顔をする。


「まもちゃんってさ…変態なの?」


うさぎが恥ずかしそうに少し顔を赤らめている。



唐突な質問に衛は動きを止め目を見開く。

「なんでそんな事聞く?」


もしや、また美奈子がうさに変なことを吹き込んだかと思いながらうさにきく。


「だってね。美奈子ちゃんがね…!」


やっぱりか、と思い。必死に言葉を紡ごうとするうさが可愛いくつしょうがなかった。



「じゃ、試してみるか?」


と、俺はうさの上に覆いかぶさる形になる。


「え?」

この後どうなったかは二人しか知らない…
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