月に願いを
□5夜
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「ど、どどどどーいう関係なんでしょうかお2人は!?」
「ちょ、けけ謙也焦りしゅ…すぎやで!!」
「2人とも落ち着けや」
俺と彼女を見比べて面白い反応をしている先輩等。
彼女は少し頬を引き攣らせている。
一旦ジュースを飲み、落ち着きを取り戻そうとする2人。
滅多に見れない姿を見て、少し笑ってしまった。
「………光、嬉しそう」
「…そうか?そう見えるんやったらそうやろな。
んで、落ち着きました?いい加減」
「ん、あぁ……平気や。心配かけてすまんな!
それで、2人の関係は…?」
恐る恐るといった表情で聞いてくる部長。
隣の謙也さんも当に興味津津といった顔だ。
「………えーっと、めっちゃ簡単に言うと…、居候………っすわ」
隣でコクリ、と頷く彼女。
俺の話を聞いて、また2人は呆けた表情をした。
そんな顔を見て、俺等は顔を見合わせて小さく笑った。
「………白石、さん」
「ん?なんや沙羅ちゃん」
「………忍足、さん」
「どした?」
この家に来て初めて俺の家族意外と話したからか、さっきから普段より緩ませた頬で2人と会話……?をしている。
………何故か、モヤっとする。
理由など到底分からないが、部長と謙也さんと3人で話しているのを見ると、胸の何処かがずきりと痛むのだ。
「…光、どうかした?」
「ぁ、いや……何でもない」
彼女が俺の方を見ると、さっきまであったモヤモヤが消え去る。
ちらりと先輩等の方を見ると、ニヤニヤとこちらを見ていた。
「ほぉ………とうとう財前もそういう年頃になったんかぁ……」
「ええなぁ……微笑ましいわ…」
「…は?何気持ち悪い顔してはるんですか…意味分からん」
「……ま、今はええやろ!そのうち気付くやろうし」
「ゆっくり見守ったろうや!謙也!」
「せやな!」
何を言っているんだ、という意味合いを込めて、冷たい目線を送ってやった。
隣のかの所も首を傾げて、不思議そうに先輩等を見ていた。
部長と謙也さんが彼女に会ってから1週間。
何処から情報を仕入れたのか、目の前には嬉々とした表情で迫ってくるオカマがいた。