No Innocence
□5題
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雅との電話が終わったのち僕はそのまま眠りに就いた。就いたはいいのだが……
こいつは、誰なのだろうか。
ふと目を覚ましたら隣にいた。いや、どう考えてもおかしいだろうこの状況は。本当にこいつは誰なのだろうか、何故僕の隣でこんなにもすやすやと眠っていやがるのか。
……なんだか腹が立ってきた。
とりあえず起こさなければ話は進まない。殴ればきっと起きるだろう。
―バシッ
「…い、痛いC……」
「おい、起きろ。寝るな」
「んー、おやすみぃ」
「起きろ、さもなくば此処から落とすぞ」
「!?お、起きるC!!」
目の前にいるふわふわしてる羊。ぱっとみの印象が羊だからこう呼ぼう、我ながらぴったりなネーミングだと思う。
「とりあえず、君は一体何故僕の隣で寝ていたのかな?」
「それは君が気持ちよさそうに寝てたからだC−」
「へぇ……君はそんな自分勝手な理由で他人の迷惑となる行動をするんだ、随分軽率だね…」
「ひっ……ゴ、ゴメン……」
怯えてる…まあ意図的にそうするように話しているんだが。そこまで咋に怯えられると多少だが罪悪感とも似通った感情が湧き出てくる。
「まあ別に良いよ、睡眠を妨害されてはいないし。それじゃ羊君、また会ったら」
「ちょっと待って!俺羊じゃないC!芥川慈郎、よろしく!君は?」
「……水月桔梗、よろしく」
「桔梗ちゃんだねー!」
「そ。んじゃあ僕はこれで失礼するよ」
「Aー、帰っちゃうの?」
「芥川君、授業は終了してるし、それに今は昼休み。お昼があるからね」
「そっかー……あ、芥川じゃなくてジロー、って呼んで欲しE−」
「…ま、気が向いたらね。それじゃあ」
そう言って貯水塔から飛び降りる。そんなに高くないから特に足は痺れたりはしない。
少し急ぎ目に屋上から出て行った。