No Innocence
□8題
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「桔梗、雅治、起きてー!」
姉さんの声が微かに聞こえる。
だが生憎僕は低血圧、これは雅もだ。その為、物凄く朝に弱い。しかも目覚めが吃驚する位に悪いのだ。
………寝る。
「「……おやすみ」」
「!?ちょっと2人とも、出かけるんじゃないの!?」
あー……そういえばそうだった。
だが今は睡魔の方が優先だ。人類皆三大欲求である睡眠に勝つことなどできないと信じている。
「……はぁ。桔梗は起きないとデザート抜き、雅治は桔梗と連絡取れないようにするけど。それでもいいなら……寝なさい?」
姉さん酷い、雅のは確実に僕に被害来るじゃないか。そんなの許さないぞ……
まだ軽くまどろんでいる頭を気合で起こし、ゆっくりとした動作でベッドから出る。
雅の方が微妙に行動が早い。恐らく姉さんの言葉の所為が8割9割あるだろう。
「姉さん……おはよ」
直ぐに立ち上がろうとしたら立ち眩みがした。
「っと、桔梗しっかりしんしゃい…」
「ごめんごめん」
実は、低血圧だけでなく低体温、極度の末端冷え性、それから貧血持ちでもある。貧血は立ち眩み程度でそこまで重くは無いのだが、とにかく色々持っているのだ。
こんな風に立ち眩みが起こるのも日常茶飯事。流石に学校では倒れないように堪えるのだが。
「2人とも早く準備してよね?」
「「わかったぜよ…」」
姉さんもまだ支度が終わっていなかったようで、僕達を起こしたら直ぐに下に降りて行った。
「雅……今何時?」
「……まだ8時ぜよ」
「まだ寝れるのうそれ。起こすの早いぜよ…」
「ま、取り敢えず準備するき」
「うん…」
駄目だ、やはり睡魔が襲ってくる。
現在時刻を聞いたらまた睡魔が来る。もう一度寝ようか……そう考えていたら、どうやら自然と足がそちらへ動いていたようで、雅に思い切り腕を引っ張られた。
その拍子で何故か雅に抱きつかれている形になって……あ、雅あったかい。
「いい加減諦めるナリ」
「無理じゃ、眠か……」
ぺち、と頬に何か当たり、睡魔の御陰で重たくなってきていた瞼を頑張って開いてみると、雅が僕の頬を軽く叩いていた。
「……分かった分かった、ちゃんと起きるぜよ。だから止めんしゃい、地味に痛いき…」
「桔梗は俺よりも朝弱いのう、やっぱり」
「しょうがないじゃろ。人間誰でも苦手なもんはあるぜよ」
やっと覚醒してきた頭を使って体を動かし、準備をするために荷物を漁る。それを見た雅が隣の自分の部屋へと行った。