短編

□愛されたいの、私だって
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私の人生今まで15年、親に反抗したことなど無かった。
其れは勿論自分に怒りの矛先を向けられるのが怖かったから。

我が家はかなり教育と言う物に関して厳しかった。

『常にトップであり続けなさい』

そんな言葉をずっと言われ続け、其れに抗う事もせず唯只管に上を目指していた。

失態を侵したならば拳一つ受けるのなんて当り前。そんな環境で暮らしてきた私に、親からの愛情を受けて育つことなど到底ありえなかった。


だからこそ、愛と言う物に心底枯渇していたのだろう。

親の視線の先に私なんて無くて、ただ会社の事ばかり。一人っ子の私にはただトップを目指し続けることでしか暇を持て余すことができなかった。





今回のテストも勿論1位。
立海に入学してからそれが変動したことは一度たりとも無い。
だって、そう言われているんだもの。



「お前はいつも寂しそうな目をしているな」

「そうかしら?私は満足しているだけよ」

「……そうか」


隣人である柳君には度々そう声を掛けられる。
きっと、見透かされているのだろう。


私は、愛が欲しいのだ。


ただ、色恋等に溺れてしまったらそれは私で居られなくなる。
それが分かっているからこそ、私は恋などしたくはないのだ。



物思いに更けていたら、いつの間にか授業が終わっていた。次は昼休みだ。昼食の為に移動をしようとした。


「苗字、少しいいか」

「……手短に頼むわ」


そう告げると、柳君は何も言わずに私の手を取り、何処かへと足を進めていった。
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