No Innocence
□4題
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「おはよー」
「あ、桔梗ちゃんおはよー!」
朝からこのクラスには癒される、和まされる。
さっきまでやや下がり気味だったテンションも、クラスの御蔭で多少也とも上げる事ができた。マジ素敵、このクラス。
そういえば。
僕の席は一番後ろだった。結局授業を受けていたのは一回もなかったから記憶の隅に追いやられていた。
なんとも素敵な響き、一番後ろ。
この席だったら偶には授業に出てもいいかも。
大人しく席に着いて、一応…一応だが、先程僕の下駄箱に大量投与されていた手紙を確認してみる。
……ふむ、無記名。
勿論これは想定内。そもそもこういった手紙で記名をするのは本当にloveの人だろう。deathでも基本は記名しない。呼びだした先であぁ…となるのが基本パターン。
とりあえず、適当にチョイスした手紙を開封してみる
『桔梗さんお綺麗です!応援しています!』
「……………………は?」
「え、桔梗ちゃんどうしたの……って、何その手紙の量!え、すご!」
驚きすぎて口に出していた、いけないいけない。
反応してくれた彼女には苦笑いしてしまった。
…開封するのが途端に嫌になった。家に帰ってから読むことにしよう。
「お、水月はよー」
「あっれ、宍戸君……おはよ」
暫く周りの子と談笑していたら宍戸君が来た。
流石運動部だけあって、来るのは正直HRギリギリだ。
彼とも少し談笑していたら担任が来た。田中だ。もう正直名前とかどうでもいい。はなっから覚えるつもりもないが。
それから挨拶等諸々終わったあと、連絡に入った。
「よし、じゃあ明日から期末テストに入るからなー。しっかりやっとけよ」
「…………は?先生、僕そんな事聞いてないんですけど」
「あれ、そうだったか?まあ、水月だったら大丈夫だろ」
「え?何言っちゃってるんですか先生、僕範囲すら知らないんですけどどういうことですか?職務怠慢ではないんでしょうか?」
「そ、それはほんとに悪かったって……だけどほら、お前なら大丈夫だって」
「……………田中先生」
「ちょっと待て、田中って誰だ!?」
「え、先生の名前田中じゃないんですか?」
「俺は小林だ!」
「ああ、田中。もう大丈夫です、先生。ほら、早くHR終わって下さいよ」
半ば無理矢理終わらせた。
とりあえず田中には嫌がらせもどきのことをしておこう。こういうことに関してはお前は敵に回したくないと言われたんだ経験があるんだ、是非とも徹底的にやってやる。
あれから無事周りの子にテスト範囲を聞いて。軽く慰められた。この子たちホントに優しい。
宍戸君には今日もサボる、と告げてまた屋上へ向かった。