No Innocence

□5題
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……危なかった。
正直その一言に尽きてしまう。寝起きは一番油断してると言っても過言ではない。簡単にいってしまうと標準語で喋れない可能性が高いのだ。
よくやった、僕。
そう素直に褒め称えたくなる。とっさに出た言葉が標準語で本当に良かった。彼は勘が鋭そうだ、少しボロを出しただけで勘ぐられそうで怖い。
……できるだけ接触を避けたいな。

まあ、僕がそんなボロを出さないように関わればいいのだが。
……騙すなら、徹底的に。

そうだ、日曜日あの方法で行こうかな。
いくら神奈川に行ったとしても、向こうで雅の知り合いと出会う可能性がゼロであるとは言えないのだ。少しの可能性でも虱潰しにしていく必要があるだろう。

神奈川に行くんだ、折角だから泊まりで行こうかな。
少し距離もあるし、午前中から出かけるとなると相当早めにこちらを出なければいけない。朝が苦手な人間からしたらできるだけ避けたい。
夜に連絡しておこう。





















弁当を食べようとしたら、近くにいた女子達が誘ってくれた。


「桔梗ちゃん、部活どうするの?」

「あー、あんまり考えてなかった。この学校って強制なの?」

「ううん、基本自由だけど殆どの人が入ってるよ」

「そっか……どうしようかな」

「あ、もし迷ってるならさ、あたし演劇部入ってるから一緒にやらない?」


演劇部か…と呟いてみる。
だが生憎。演技は現在進行中でやっているようなものだ。部活でやるのも新しい方向性を見出すことができそうだがそこまで演技に貪欲ではない。
それに今の演技力でも十分この年代を軽く凌駕していると言われた記憶もある。上はまだ良いだろう。
ごめん、演技とか苦手なんだ、と眉を少し下げながら言えば彼女も少し渋りながらも納得してくれた。


「強制じゃないんだったら、家も遠いし帰宅部でいいかな……」

「そっかあ…桔梗ちゃんってさ、通学どれくらい掛かるの?」

「1時間位。朝苦手だから結構辛いんだよ」

「結構遠いよね、それ!?…よく来れるよね、私絶対無理だわ……私、自転車で10分だよ?」

「え、近いじゃん!それ羨ましい!」


どうやら僕の家は結構な距離にあったようです。
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