No Innocence

□6題
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女子の黄色い声援が聞こえた。
そして徐々にモーゼの如く道が一気に開けた。一体何事だ。

その様子に少し呆気を取られていると、その元凶とも言えるであろう男子生徒がそこから現れた。徐にテストの順位を確認すると一言こう述べた。


「アーン、俺様が2位だと?」


……厄介なことになりそうだ。
そう咄嗟に感じた僕は早くその場から立ち去りたかった。


「おい、水月桔梗は何処だ」


やばい。どうか誰も僕の存在に気付かないでくれ……
そんな祈りも空しく、近くにいた生徒が声を上げた。


「水月さんならこの人です」


……お前の事一生恨んでやる。そんな思いを込めてキッ、と睨んでやったら驚いた顔をして、それから後ろに退いて行った。


「お前が水月桔梗か」

「いいえ違います、人違いじゃないですか」

「アーン?さっきの奴はお前って言ってただろうが」

「頭でもおかしくなったんじゃないですか?僕は水月桔梗なんかじゃないですから。」

「だったらお前は誰だ」

「………ああもう、めんどくさいなぁ。僕はそこらへんにいる通行人Bですよ、それで満足でしょう?」

「ほぅ……この俺様を前にして尚否定するのか、いい度胸だ。気に入った」


コイツ、頭大丈夫か。
もうめんどくさい、只管にめんどくさい。近くにいる侑士に助けてと目線を送れば仕方ないといった顔をした後助け船を出してくれた。


「まあまあ、跡部もその辺にしいや。彼女迷惑しとるみたいやしなあ……喋るんやったら違う場所にし?ここ迷惑やろ」

「そうですよ、彼の言った通り迷惑でしょうし。僕は昼食もあるので失礼させていただきます」

「おい、待て…!」


俺様が何か言ってきたがもう気にしてなんかいられるか。急ぎ目にその場から立ち去った。侑士に小声で礼を言うのも忘れずに。
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