No Innocence
□7題
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家に着いてからと言うもの、姉さんがずっとくっついていて大変だった。けれど、姉さんの顔をしっかり見たり、こうやってじゃれあったりするのも久しぶりだったから嬉しかった。
取り敢えず自分の部屋に入って大まかに荷物の整理をする。
此処に居るのは今日と明日の2日だけだが、紛れもなく僕の部屋だから。
整理が終わったところで、母さんと父さんの所へ向かう。
特に呼ばれてはいないが、ちゃんと話をしたいと思ったからだ。
1階へ降りると、既に僕以外全員揃っていた。多少驚きながらも数年前と同じ席に座り、改めて皆の顔を見る。
変わってなんか、居ないのだ。しいて挙げるのであれば……雅はより一層カッコ良くなったし、姉さんは綺麗さが増した。母さんと父さんは相変わらず年を感じさせない。
着いた時間が時間なだけに、もう夕食にするようだ。
久しぶりに、賑やかな夕食を迎えることができた。
「桔梗、お風呂空いたわよ」
「分かった、入るぜよ」
2階へ行き、替えの服を持って再び1階へ降りると、丁度雅がソファで寝転がっていた。
其れを見てしまったら、する行動は唯一つだ。
ダイブ一択。
「まーさー!」
「うぉっ!?なんじゃ、桔梗か」
「雅、一緒にお風呂入らんか?」
そうニヤニヤしながら言うと軽く頭を叩かれた。
「ほぅ……随分積極的になったのう、桔梗」
「ククッ、満更でもないじゃろ?」
「兄をからかうんは止めんしゃい」
そう言われてまた軽く叩かれた。
現在の状況を軽く説明するのであれば、寝転がっている雅の上に僕が乗っている。勿論寝転がって。2人の距離は勿論ゼロだ。
こうしていると直に雅の体温を感じることができる。久しぶりで懐かしく感じてしまう。
「そうじゃのう……だったら、一緒に寝んか?」
「ククッ、ま、偶にはええじゃろ」
「やった、雅と一緒に寝れる」
そう言って思いっきり雅に抱きついてやった。スキンシップの激しい兄妹だとつくづく思うが、これが我が家では標準だ。抱きつけば雅も抱きつき返してくれた。やばい泣きそう。
「ちょっと、私も混ぜなさいよ!」
「げっ、姉貴……」
「姉さん!!」
雅が咋に嫌そうな顔をしたが、姉さんが僕の上に乗っかってきた。雅が一番下、ざまぁ……
あれ、姉さん軽い。そう思っていたら雅の顔が徐々に青くなってきた、そろそろ止めよう。
「姉さん、雅の顔青くなっとるけぇ、そろそろ止めんしゃい」
「あはは、ごめーん雅治」
「……もう嫌じゃ、2人して酷いぜよ」
「まーまー、偶には良いじゃん。久々に帰ってきたんだしね、桔梗が!」
そう言って姉さんが再び僕に抱きついてきた。勿論、今度は雅抜きで。
こうやって考えると、双子だからではなく兄妹全体の中がやはり良いのだろう。喧嘩はそこそこするが、気が付いたら仲直りしている、というのがやはり多い。
「っと。風呂入るんじゃった、行ってくるぜよ」
そう言えば、2人とも笑みを浮かべながら返事をしてくれた。