No Innocence

□8題
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予め持ってきた服何着かと睨めっこを始める。
一応考えはあった為、大方のイメージは固まっている。それに合わせて服も持ってきてあるので、思いのほかすんなり決まった。

そして、僕の結論がこれなのだ。


「よし、男装するか」


此処をうろつくとなると、雅の知り合いと合う可能性が多少也とも存在する。さらに言ってしまうと、雅の知り合い=テニス関連である確率も無きにしも有らず。
そもそも双子なので当然容姿は似通っている部分が多いため、僕という結論に行きつく可能性もまた或るのだ。

まあ、簡単に言ってしまうと盛大な予防線という事。





服に関しての問題はほとんどない。
元々好んで着るのは中性的なものなので、そこから女子イメージを払拭する物を選んでいけば全く問題ない。胸だってサラシを持ってきてあるので潰すこともできる。……ただ、物凄く苦しくなるのだが。
合った時には自分の演技力を行使すれば問題ない。男子の振りをする、という僕自身の演技の練習にもなるのだ。



結局選んだのがこれだ。
白のカッターシャツに黒のネクタイ、黒のベスト、濃紺のデニム。
できるだけシンプルにまとめたし、一応男にも見える筈だ。

サラシに使う包帯は帯子ちゃんが大阪を発つ時に何故かくれた物を活用させてもらおう。ちなみにこれはいつも持ち歩いている。というか無理矢理だ。
「これを俺やと思って向こうでも頑張ってや」と号泣されながら渡されたら……もう貰うしか正直できない。追い打ちをかけるようなことを言って光に後で言われるのも面倒だからだ。


とりあえず早く着替えてやった。余談だが、これまでのこの長ったらしい考察云々の時間は3分弱だ。








少し急ぎ目で着替え廊下に出ると、既に着替えを済ました雅が待っていた。

僕の恰好を見るなり、雅の眼が大きく見開かれた。


「桔梗、どうしたんじゃ!?」

「え、なにが?」

「とりあえず下に行くぜよ」


半ば無理矢理雅に下まで引っ張られ、連れてこられたのが姉さんの前。
何故、と疑問に思っていたら、案の定姉さんも雅とおなじ反応をした。流石姉と弟、少し面白い。


「桔梗、どうしたの!?」

「だから何がじゃ」

「だって……可愛い桔梗が男の恰好だなんて……!」

「そ、そんな必死な形相で言わんでも……まぁ、僕なりに色々考慮した結果がこれじゃ。察してくれんか」


そう言ったら2人とも少しは納得をしてくれたが、やはり不満も残っているようだ。
もしかしたら似合っていないとかなのだろうか。


「のう、似合っとらんのか?

「「いや全然、寧ろ似合いすぎて困る(わ/き)」

「なら問題ないじゃろ」


そういうと微妙に不機嫌になった。ちょっとめんどくさい。まあ合っているのであれば外には出れる。
今は早く準備をしてしまおう。
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