No Innocence

□9題
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幾ら体が拒否しようと、体に完全に染みついた動きは少しぎこちないながらも動いてくれた。
ブランクなんて、案外早く埋めれそうだ。
自分の物ではないような感覚の体を動かし、ラリーを続けた。














イリュージョンの効果は、僕の想像を上回るものだと言っても良い位だった。

あの頃に比べたら足元にも及ばないようなプレーだった。だけれど、確かに進歩はすることができた。


良く考えれば、テニスウェアを着ずに普段着でやっていたのだから凄いと思う。
額の汗を拭っていれば、雅に頭を撫でられた。


「よう頑張ったな」

「……当り前じゃ」


優しい笑みを浮かべた雅に、少し悪戯っぽく笑ってやった。













ストテニを出た頃にはお昼にはちょうどいい時間で、朝言っていた僕の気になるお店へと入って昼食を摂る事にした。そのお店と言うのはかなり本格的なイタリアン。もうずっと気になって気になって仕方が無かった位には行きたかった所だ。


運ばれてくる料理は色採りが綺麗で。やはり味も最高だ。


「何これうまっ!」

「本当じゃな、これ」


雅も味に満足したようで、終始笑みを浮かべながら頂いた。
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