男性声優短編

□幸せになってね
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『杉田さん!!』



俺が一番会いたい人の声がして扉のほうを見た。



そこには笑顔の名前がいた。



『杉田さん、具合はどうですか?』



「あぁ、今日は名前が来てくれたからすっごく調子がいいよ。」




そんなのは嘘。

ほんとはいつもより調子は悪い。




だけど、調子が悪いと言って名前に心配かけさせたくない。



だから俺は調子がいいと嘘をつく…




『杉田さん!!今日はとてもいいことがあったんですよ!!』




すごく嬉しそうに話始めた名前。





名前のその笑顔を見ると自分の病気のことは忘れてしまう。










だが俺の病気の症状は急にやってくる。







「何があった…ゲホッ…」



まただ…一回咳が出るとなかなか止まらない…



「ゲホッ…ゲホゲホッ…」




『杉田さん!!大丈夫ですか!?杉田さん!!!!』



「だ、大丈夫ゲホッ…だよ…ゲホゲホッ…」




『杉田さん!!今お医者さん呼びますね!!頑張ってください!!』






「待って…いいよ…ゲホゲホッ…俺は…も、もう…長く…ないんだ…ゲホッ」





『でも!!』







「もう…いいよ…だから、俺の手…ずっと握っていてほしい…ゲホゲホッ…」



「少しでも…ゲホッ…名前と長く…一緒にいたいだ…」





『杉田さん!!私もずっと一緒にいたい!!杉田さん死んじゃ嫌!!』





名前は泣き崩れた。





俺だって死ぬのは嫌だ…

死ぬのは怖い…


お前に会えなくなるのは嫌だよ。





「なぁ、名前…ゲホッ…」




『な、何?…グズッ…』






「俺、ずっと願うよ…」






「名前の未来が………ずっと幸せで、ありますようにって…ゲホッ…」







『嫌!!死んじゃ嫌!!』








「俺と出会ってくれて……ありがとう…ゲホゲホッ」

















今まで名前と過ごした時間楽しかった…













「俺が、死んでも……俺のこと…ゲホッ…忘れるなよ…」










「名前、あい、して、る………」









俺は生まれ変わってもまたお前に出会いたい…。












そして俺はそこで息を引き取った…



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