籠球短編
□憧れの世界
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ずっとずっと憧れてた。
あなたの世界に行く事を…。
あなたにお会いする事を…。
もし夢が叶うならどうか…私をあなたの元へ…。
『はぁ〜やっぱりスラムダンクと言えば神宗一郎よね。神くん最高にカッコいいよ…!!』
「はいはい、もう聞き飽きたわよ。」
『飽きないでよ〜。ほら見て!!このスリーポイントを決める姿…!!はぁカッコいい…。』
「本当にひつじってオタクよね。マンガも良いけど、現実の世界で彼氏でも作ったら?」
『彼氏なんかいらないよ!!私はね、このスラムダンクと神宗一郎がいてくれれば生きていけるもの!!』
「あ〜はいはい。じゃあ私帰るね。また明日学校で〜。」
『ひどっ!!』
私はマンガやアニメが大好きで、中でもスラムダンクが特にお気に入りだった。
『スラムダンクかぁ…神くんに会いたいなぁ…。』
―そんなに会いたいか?
『そりゃあ会える事なら会いたいよ。私の憧れの人だもの。』
―会って何をする?
『会えるだけでも幸せだけど、お話とか出来たら最高…って、私誰と喋って…』
辺りをキョロキョロ見渡すが誰も居なかった。ここには私しか居ない。私の部屋なんだから当然だ。友達も数分前までは居たが帰ってしまったし…。
―ここだ。
『…鏡?』
キラリと光が反射し存在を主張する鏡はいつも使っているもので、手に取り覗きこんでみると不思議そうな顔をする私の顔が現れた。
『…私…だよね。ついに頭やられたか…。』
―お前が本当に望むなら連れていってやる。
『…?!』
やはりこの鏡が喋っている。喋っている…と言うよりは鏡の向こうから声がするという感覚で、驚いた私は危うく鏡を落としそうになった。
―もう一度だけ言う。お前が本当にスラムダンクの世界に行きたいと強く願うならば連れていってやる。
『連れていってやるって…本当に?』
―そう望むならばな。
『…で、でももし仮に本当に行けたとして、帰ってこれるの?』
―1週間だ。1週間経ったらこの元の世界へ戻してやる。
『1週間…。』
―よく考えろ。向こうの世界へ行くか…それともやめておくか。
『いっ行く!!行きたい!!』
―本当に良いんだな?
『神くんに会えるなら行きたいです!!』
―了解した。お前をスラムダンクの世界へ連れていってやる。
『…!!』
鏡が光り辺りが目も開けられないほど眩しく輝いた。その瞬間何かに私の体は引き込まれ、ただその感覚に身を委ねるしかなかった。