籠球短編

□俺の好きな人
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俺の好きな人…それは1つ年下で俺たちバスケ部のマネージャー。あの子を好きになってからもう半年が経つ。

ちゃんと仲良くなってから、あの子の気持ちも俺に向いてから告白しようって決めてた。

でも…俺がモタモタしている間にあの子は…違う男のものになった。

ガチャッ

『あっ神先輩…!!』

「やぁひつじ。いつも早いね。」

『今日は掃除がなかったので…。神先輩も早いですね!!まだ誰も居ないかと思ってノックもなしに…スミマセン、着替えとか大丈夫でしたか?』

「平気だよ。俺も来たばかりだったからね。」

『良かったです。』

俺が恋をしている女の子…ひつじは何事にも一生懸命で素直ですごく女の子らしい可愛い子だ。

『道具の準備だけしても良いですか?早めに終わらせてすぐ出ますので。』

「うん、良いよ。それにまだ部活が始まるまで時間あるし急がなくて大丈夫だよ。」

『ありがとうございます(ペコッ)』

部活で使う道具を集めるひつじの後ろ姿を、俺はコッソリ眺めた。部活では見慣れない制服姿、時々背伸びをしながら棚に手を伸ばす小さな体、メモを見る真剣な表情…。

「(一応今…部室で二人きりなんだけどな)」

ひつじには良い所はいっぱいあるし挙げたらキリがないくらいだけど…心配な所も少しある。

『えっと、あとは…』

「ひつじ、俺も手伝うよ。」

『いえいえ、先輩の手を煩わせるわけにはいきませんよ。』

「二人でやった方が早いからね。だから、ね?俺にも手伝わせて?」

『はい…やっぱり神先輩って優しいですね。』

「そんな事ないよ。俺たちバスケ部員が使う道具なんだから手伝うのは当然の事だよ。」

『フフッありがとうございます。』

なんて…本当はただ君と話したい、君に近付きたい、君に良い印象を持たれたいだけなんだ。

そうとも知らず俺の言葉を素直に受け入れたひつじは俺を褒め、ありがとうと嬉しそうに笑った。

「(君は人を信用し過ぎ…だよ。本当の俺は優しくなんかない…)」

『あとは…救急箱だけですね。救急箱救急箱…あったあった!!よいしょ…』

「待ってひつじ、それは俺が…」

『つっ…!?』

「危ない…!!」

ガタガタ…

『……!!ごめんなさい神先輩!!』

「っ…ふぅ。ギリギリセーフ、かな。」

『お怪我はありませんか?』

「大丈夫だよ。ひつじこそ怪我はない?」

『私は…神先輩に守っていただけたのでどこも…。本当にスミマセンでした。』

「そうだね…あんな重たい物を背伸びして取るなんて気をつけなきゃダメだよ?万が一頭の上に落ちていたら大怪我をしていたかもしれないんだから。」

『はい…ごめんなさい。』

「でも本当にひつじが無事で良かったよ。今度からはもっと俺を頼ってよ。俺、高い所にあるのを取るのだけは得意だからさ(ニッ)」

『神先輩…ありがとうございます。』

「よし、じゃあ気を取り直して散らかった道具を集めようか(ポンポン)」

『…はい!!』

君を守れて良かった。
これからも君は俺が守りたい。
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