籠球短編
□俺の好きな人
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俺の好きな人…それは一つ年上で俺たちバスケ部のマネージャー。先輩を好きになってからもう半年が経つ。
一目惚れで何度も何度も告白したのに、俺には一回も振り向いてくれなかった。
ずっと俺の気持ちを伝えてきたのに…先輩は既に違う男のものだったんだ。
「ふぅ…」
『あ、流川くんお疲れ様。タオルとドリンクね。』
「ありがと…んっ美味しい…。」
『今日もなかなか調子良いみたいね。前半戦、シュート一番多く得点取ってたよ。』
「まぁ…これ、何?」
『あ〜これはお守りだよ。もうすぐ全国大会あるから、みんなが体調バッチリで練習の成果出せるように。』
「お守り…交通安全って書いてあるけど?」
『いっ良いの!!会場に向かうまでの間もしっかり守って貰わなきゃだし。』
「はいはい。分かった。」
『分かったって表情じゃないけどね〜。』
「んなむくれたら更に不細工になるけど。」
『余計なお世話よ。』
…なんて。そんなの嘘に決まってる。俺がちょっと意地悪すると頬を膨らませてソッポを向いちゃう姿はいつ見ても可愛い。
「…ねぇひつじ先輩。」
『ん〜?』
「後半戦でも俺が一番多く得点取ったら、俺の彼女になって。」
『それは無理かなぁ。』
「何で?」
『付き合ってる人がいるから。』
「…もう何回も聞いた。」
『じゃあ…』
「誰なの?」
『…秘密。』
「バスケ部の人?それとも同級生?」
『言えないの。』
「俺と付き合えないならせめて誰なのか教えてよ。」
『教えられないの。それに聞いたって意味ないでしょ?』
「…頑固。」
『はいはい、ほら流川くんもうすぐ後半戦始まるよ?準備して。』
「やだ。元気なくした。」
『元気だして。応援してるから。』
「…じゃあひつじ先輩に元気分けてもらう(ギュウゥ)」
『わわっ流川くんちょっ離れて…』
「良いじゃんちょっとくらい。すぐ離れるから(ギュウギュウ)」
『はぁ…元気出た?』
「まだ。」
『じゃあどうすれば元気出る?』
「付き合って…」
『それはダメ。』
「む……頭なでて。」
『はいはい…ちゃんと応援してるから後半戦も頑張ってね(なでなで)』
「ん…サンキュ。」
何度聞いても教えてくれない秘密の恋人。バスケ部の人…じゃないのかな。部活中は毎日と言って良いほどひつじ先輩にくっついてるけど、文句言う人居ないし…まぁからかう奴や猿みたいに無駄に煩い奴は居るけど。
部活以外だと俺…ひつじ先輩の事は何も知らない…。学年が違うし校舎で偶然会ったりもないし、登下校もいつも俺はギリギリだからひつじ先輩とは別々だし…。
「(そもそも…ひつじ先輩が彼氏と居る所見ちゃったら俺…正気でいられるだろうか…)」
『さぁ流川くん、後半戦も行ってらっしゃい(ポンッ)』
「…ッス!!」
ただ…この素敵な笑顔を俺だけのものにしたいんだ。