籠球短編
□俺の好きな人 2
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ひつじへの想いがかなり揺らいだあの日から時は経ち、俺の気持ちはだいぶ落ち着きを取り戻していた。
未だにあの笑顔を見れば可愛いと思うし、たくさん話したい願望はあるものの、彼氏である信長からひつじを奪おう等とは考えなくなっていた。
「ひつじ〜ひつじ〜!!」
『ちょっ何よノブ?』
「怪我した。手当てしてくれ。」
『はいはい。どこ?』
相変わらず仲の良い二人を見るたび正直なところ胸がチクチクするけど…。この胸の痛みを感じるのはまだひつじを諦めきれていないからで…。
「ヘヘッサンキュー。」
『も〜気をつけてよ?』
「分かってるって!!」
『あっ神先輩、お疲れ様です。』
「お疲れ。信長はまた怪我したみたいだね。」
『そうなんですよ。無茶ばかりするから…あ、神先輩背中のアザ…どうですか?あれから一月経ちますがもう良くなりましたか?』
「だいぶ薄くなったよ。ひつじの迅速な処置のおかげだね。」
『そうですか…ずっと心配だったので安心しました。』
「痛みもないから大丈夫だよ。ありがとう。」
『いえっお礼を言うのは私の方です!!ありがとうございました。』
本当に安心したのかホッとした表情を見せ笑ってくれた。そうだ…俺が欲しかったのはこの笑顔だ。
「ハハッ本当にひつじの笑顔には癒されるよ。疲れも一気に吹き飛びそうだ。」
『そっ…れは照れます…///』
「よし、じゃあ俺たちも練習戻ろうか。また信長が無茶しない内にね。」
『はい!!』
俺たちの関係は部活の仲間、学校の先輩と後輩。それは変わりないけど、でも毎日君のこの可愛い笑顔で俺は頑張れるんだ。
嫉妬で狂いそうだったあの時とは違う。だって君が幸せじゃなきゃ意味ないからね。