籠球短編

□俺の好きな人 2
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ひつじ先輩が恋人と別れてから数ヵ月が経った頃…俺の先輩を想う気持ちは膨らむ一方だった。

「先輩、お昼いこ。」

『流川くん…!!今日もクラスまできてくれたの?』

「ん。今日は中庭行きたい。」

『分かった。じゃあ行こっか。』

"あの出来事"があった翌日に先輩はバスケ部のマネージャーを辞めた。さすがにあの二人がいるなかマネージャーを続けるのはキツいと…俺とキャプテンにだけ本当の事を話してくれた。

「ベンチ空いてる。ここ座ろ。」

『そうだね。ん〜良い天気だね〜。』

「(ぐうぅ…)」

『アハハッご飯、食べよっか。』

先輩にその話を聞いた時…予想はしていたが会える時間がなくなってしまうと正直落ち込んだ。けど、その代わりにと先輩は俺に連絡先を教えてくれた。

「ひつじ先輩、その玉子焼きと俺の焼そばパン一口交換して。」

『一口だからね。全部食べちゃダメだよ?』

「分かってる(パクッ)」

『あぁぁあ!!全部食べたー!!』

「玉子焼き小さかったから…一口は一口だし。」

『分かってるって言ったのに…。』

「スゲー旨かった。」

『そっそう?実は自信作だったのよね〜。』

「もう機嫌治ってるし。」

『まだ怒ってるからね!!』

「悪かったって。焼そばパン半分あげるから許して?」

『上手く丸め込まれた気分…でも焼そばパン美味しい…!!』

「でしょ?」

毎日部活で会えなくなった分、こうして昼休みや空いた時間を見つけては先輩に会いに行くようになった。

どんなに少ない時間でも良い。先輩と話せるのなら…先輩と同じ時を過ごせるのなら。

朝も本当は早起きとか苦手だけど、先輩と一緒に登校したくて家まで毎日迎えに行ってる。

「ねむ…ふぁ〜…」

『食べたばかりだし良い天気だからね。それに最近は早起きしてくれてるし。』

「…先輩、明日も朝メールちょうだい?先輩からおはようってメール貰えたら二度寝しないで起きられる。」

『うん、良いよ。』

今まで知らなかった先輩のアドレス。毎日少しずつ増えていく先輩との思い出が嬉しかった。

おはよう、とかお疲れ様、とか…挨拶だけでも良いんだ。大好きな先輩との些細なやり取りが俺の心の支えになっていた。
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