忍者長編
□37.強敵出現
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その夜…ご飯を食べ終わったウスラトンカチは一人縁側であの森で会った少年について考えていた。
『(守りたいものがある時に本当に強くなれる…か。)』
「いたいた!!こんな所で何やってんだウスラトンカチ?(ギュッ)」
『キバ!!赤丸は?』
「赤丸は先に寝かせてきた。何か考え事でもしてたのか?」
キバはウスラトンカチを見つけた途端、後ろから抱え込むように抱きしめ聞いた。サスケは風呂カカシはタズナ達と話し中の為、今が二人きりのチャンスだと思ったのだ。
『んー…ねぇ、キバには大切な人が居る?』
「大切な人か…もちろん!!ウスラトンカチに赤丸、それに家族かな。」
『ありがとう。この前行った森で綺麗な人が言ってたの。"人は大切な何かを守りたいと思った時に本当に強くなれる"って。私もキバやサスケ、赤丸、カカシ先生、それに友達や先生達がとても大切で守りたいと思うの。』
「あぁ。」
『家族を失ってからはずっと…自分だけを守る為に生きてきた。でもみんなと出逢い、みんなに人を愛する心を教えてもらい、みんなを失いたくないと思うようになった。』
「あぁ。」
『たまにね…不安になる時があるんだ。誰かと仲良くなっても、また私の前から居なくなってしまうんじゃないかって…。だけど、キバもサスケもずっと一緒だって言ってくれたし、カカシ先生もウスラトンカチはみんなに愛されているんだって教えてくれた。』
「そうだ。俺もサスケも、他の奴らだってウスラトンカチをおいて何処かに行ったりなんかしない。ウスラトンカチを一人になんかさせないさ。だからよ、たまには泣いても良いんだぜ?」
『!!』
「ウスラトンカチはいつも笑顔で明るくてみんなを照らす太陽みたいな存在だ。だけど、たまには弱音をはいて泣く日があっても良いんだ。次の日からは前よりもっと笑顔になれるはずだからな。」
『…うん。』
「不安な事があって失敗した時に、過去を悔やむよりその時に"何をしたかったか"自分に優しく問いかけてみれば、少しは楽になれると思うんだ。そうすればまた同じ状況が現れた時には行動出来る。なんて、堅苦しい事ばかりで俺らしくねーか。」
『ううん!!ありがとうキバ。今だけはちょっと許してね…明日からはまた笑顔の私に戻るから…うぅっ…。』
「あぁ。今はずっとこうしといてやるから安心して良いぜ(ギューッ)これなら泣き顔を見られなくて済むだろ(なでなで)」
『うん。ありがとうキバ…。』
ウスラトンカチは背中をキバにあずけ、キバの腕の中で小さく震え、涙をこぼした。そんなウスラトンカチをキバはずっと優しく、静かに抱きしめた。