恋小説
□昔の恋
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「じゃあゆっくり休んでね、来斗(らいと)」
母が病室で声を掛けてくれたのを覚えている。
「うん、ありがと」
この時俺は小一か小二だった。
(さすがに暇だなぁ…)
「あの…取ってもらってもいいかな?」
「え?あ、うん」
(誰だろう?)
下を見ると分厚い本が落ちていた。
「はい」
渡すと同時にその人の顔を見る。
「ありがとう」
すごい綺麗な人だなぁ…。
きっとこの時、俺は一目惚れしてしまったのだろう。
彼女は年上ということは分かったが、年などはわからなかった。