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□もう、いいよ。
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ある日の朝。
僕は任務があるから兄さんより先に起きた。
兄さんはまだ、すやすやと寝息を立てて寝ている。
時々、暑いのか頭までかぶっている布団を全部剥ぐ。
その時見える、少し筋肉質なお腹がちらりと見えた。
僕は無意識に兄さんのお腹に手を伸ばしていた。
はあ、駄目だな可愛いすぎる、と呟いて手を引っ込める。
そして、一旦落ち着いてから兄さんを起こすことにした。
「…ふう、…兄さん、朝だよ。
そろそろ起きたら?」
僕は兄さんの体を揺さぶって起こそうとする
「んんー……そんながっつかなくてもまだ沢山あるからー……ぐぐー……」
「何の夢を見てるんだか……」
さらさらな髪も白い肌も、何もかもがいとおしくて仕方がない。
「……ゆ、きお」
「ん?何?」
「ゆ、きお……ごめ、んな……」
最近の兄さんは何かを悔やんだように僕の名前を呼んでは手を伸ばす。
前には涙を流していたこともあった。
僕には辛いことは話さないのに自分は「何かあったらお兄ちゃんを頼れよ!」と、胸をはって言う。
「ごめっ…ん…」
「……」
僕は兄さんの手を掴んでぎゅっと握りしめる。