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□…そんな顔、するから
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「兄さん、チョコもらった?」


今日はバレンタイン、女子から男子へチョコを渡す日だ。
今は男子からもあるとかなんとか言われてるが、よくは知らない。



「もらうか、ばーか」
「なんで?」


僕はわざと問いかける



「お前とは違うんだよ、」
「?…兄さんは兄さんでしょ?」
「うるせー」


今日の兄さんはチョコをもらえず、ご機嫌がななめな様だ



(仕方ない、僕からあげようかな…)


実は、兄さんがチョコをもらえないことを知り、密かにチョコを作っていた


「兄さん、」
「なんだ?」
「兄さんに渡したい物があるんだ」


そう言うと兄さんは不思議な顔をして、今日は何か渡すもの、あったか?、と言う。


「そ、渡す物。ちょっと来て」
「?」


まだ不思議な顔をして、僕の近くまで寄る


「??」
「もうちょっと近づいて」


すると兄さんは何も分からないのかすぐに至近距離まで近づいてくる


(やっぱ、何も分かってないんだな…、はあ、僕の努力が…)


これまでいっぱいアプローチをしてきたつもりだったが鈍感な兄さんには伝わらなかった


だから今日は思い切って挑戦しようと思う


(最後はやっぱキスだよね…)



「おい、何黙ってんだ?」
「ああ、ごめん」
「で、渡すものって?」
「チョコだよ、チョコ」


ポケットからチョコを取り出す、それを兄さんにはあげずに口に含む


「あ、俺のチョコだろー」
「ん、そだよ」
「なんなんだよ…?」
「ん、兄さん」


溶ける前に口から少しチョコを出し、兄さんに向ける
それだけじゃ、どうせ兄さんは分からないからキスできる距離までチョコを差し出す


「なっ…」
「にいさん、早く溶けちゃうよ?」
「で、でも…」


(兄さんは恥ずかしがり屋なのを忘れてたね、僕からしなくちゃ…)


兄さんは恥ずかしがってなかなかキスしてくれない
だから僕からキスをした


「んっ!」
「…んっ…」
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