main

□消えてくれない、想い
1ページ/2ページ





「雪男ー!!」
「何?」
「俺、志摩ん家に行ってくるなー」
「うん、分かった。 じゃ、玄関まで見送るよ」
「おうっ!」

燐はニカッ、と笑い、玄関へと走る。
そんな兄さんの後ろを追いかける僕。



「んじゃ、いってくるな」
「…あ、……ん、いってらっしゃい」

バタン、と大きな音を立て兄さんが出ていく


「いってらっしゃい」、果たして、僕は笑えていたのだろうか。


最近の兄さんは、よく志摩くんの家に行く。
志摩くんの家に行く時の兄さんの顔は、すごく笑顔で曇りひとつない。

そんな兄さんの顔を見ていると、胸が締め付けられるように痛い。


僕は玄関にたたずんだまま、小さく呟く

「兄さん、好きだよ。でも、この気持ちは……あってはならないから……」


【あってはならない】、そう自分に言い続けてきた。



「そう言い続けてきたのに……全然消えてくれないんだ……」




「兄さん、」





そう呟き、またいつもの現実に戻る





――――
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ