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□消えてくれない、想い
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「雪男ー!!」
「何?」
「俺、志摩ん家に行ってくるなー」
「うん、分かった。 じゃ、玄関まで見送るよ」
「おうっ!」
燐はニカッ、と笑い、玄関へと走る。
そんな兄さんの後ろを追いかける僕。
「んじゃ、いってくるな」
「…あ、……ん、いってらっしゃい」
バタン、と大きな音を立て兄さんが出ていく
「いってらっしゃい」、果たして、僕は笑えていたのだろうか。
最近の兄さんは、よく志摩くんの家に行く。
志摩くんの家に行く時の兄さんの顔は、すごく笑顔で曇りひとつない。
そんな兄さんの顔を見ていると、胸が締め付けられるように痛い。
僕は玄関にたたずんだまま、小さく呟く
「兄さん、好きだよ。でも、この気持ちは……あってはならないから……」
【あってはならない】、そう自分に言い続けてきた。
「そう言い続けてきたのに……全然消えてくれないんだ……」
「兄さん、」
そう呟き、またいつもの現実に戻る
――――