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□嘘つくんはなしやで
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「好きそう言ってよ」





その一言が聞きたかったが、一向に奥村くんは言ってくれない。
恥かしいのか顔を真っ赤にしている



(そないなトコも可愛いのに、わかってるのか?)




「奥村くん、早う」
「け、けどよ…」
「奥村くんの口から聞きたい」








そう言うて近くに寄ると一歩、一歩と後ずさる奥村くん、


「なんで逃げるの?」
「そ、そんなん言えるかよ…」


嫌だな、こっちは真剣なのに…
奥村くんは恥ずかしがって言うてくれへん、こっちだって恥かしいのは承知の上なのに、


「わかった、奥村くんは俺が嫌いなんだね」
「ち、違っ…」
「だって、好きって言うてくれへんやん」


そうやってカマをかけてみると奥村くんは意外な反応を見せた


「き、嫌いだ馬鹿ー!!」


そう言うて走り去る、それを追いかける俺。


「待って、奥村くん」
「嫌いだー、馬鹿、馬鹿!」


はあはあ、としながらも俺が奥村くんを追いかけていることを知ると奥村くんは速度を落としてくれる


(はっきり言うたらええのに)



追いつくと、ぎゅうと後ろから抱きしめる


「奥村くん、嘘つくんはなしやで」
「…っ」
「はっきり言うて?」
「……好きだ、馬鹿」


やっと、言うてくれた奥村くん、
やっぱり、恥かしいのか俯きながら言う。
そないなトコが可愛いって自覚なしなんやろうな

返答は嬉しさのあまり笑いながら、


「ははっ、ありがとう、奥村くん」





end
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