短編、中編

□赤とオレンジに染まる空
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『おい、名字』

「なに?」

『柳生先輩がよんでた』

「ん。」

『…お前ほんと可愛げねーな』
そんな事、切原に言われなくても知ってるし、自覚してるし。

「じゃあどうすれば良いわけ?」

『んー、こう耳元で小さくありがと、とか可愛いよな』

「なにそれキモ」

『テメェ!』
本当に可愛くないんだな、私。
怒るって分かってて、ああいう事を言っちゃうんだもん。




「ありがと」
私は切原の理想通りに、耳元でありがとうと囁いた。
身長が、たりなかったため肩に手をおいて背伸びをしてまで言ってやった。

…ちょっとした嫌がらせ。
別にこれくらいいいよね。

あまりにも切原がそれだから。


『ばっ!名字がやっても可愛かねーんだよ』

「知ってるけど」
私はそう言い捨てて切原の横を通り、柳生先輩の所へむかった。

















『…なんで、そんな顔してる訳?』

「んーなんでだろうね」

『うぜぇ、早くいえって!』

私が教室でぼんやりと外を眺めながら今後について考えていると、切原がやってきた。


『ほら、言えって。そしたら少しは気が楽になるかもしれねぇだろ?』

…なにそれ。
なんでこう言う時は優しいの。
ほんともうそう言う感じのやついいって。

何もいって無いのに顔みただけで、私が悩んでるのが分かってしまう切原。

…あーもう本当に好きだよ、


でもこれは切原の嫌がらせなんだろう。
私が切原にした嫌がらせに似た類の嫌がらせ。


…それが一番きくって事知ってんでしょ?

このバカヤっ。
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