短編、中編
□勘違いハット
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いっつもツンツンしてるリョーマは、クールで何事にも動じない。だけど付き合ってから気づいた事がある。
意外と感情が顔に出やすい。
何時も同じに見えるけど、不機嫌になると少し表情が変わるのだ。
そんなリョーマに、今日部活ないからデートしていい?って聞いたら適当に「良いんじゃない」なんて言ったけど顔は嬉しいって言っていた。
…可愛いなぁ、リョーマ。
だけどそんな事言っちゃうと拗ねるからいわないけど。
「…どこ行くの?」
『私はリョーマと一緒なら別にどこでも良いよ』
「そう」
あ、照れてる…。
「じゃあ俺の家でもいい?…カルピンに会いたいって言ってたじゃん名前」
『本当に?リョーマが良いなら行きたい!!カルピン可愛いんだもんなぁ〜。フワフワしてるし触り心地なんて最高だよ』
「じゃ、決まりだね。一回家帰る?」
『うん、家帰ってから荷物おいてリョーマのお家に行くね』
「了解。それまでカルピンと遊んで待ってる」
『カルピンと戯れるリョーマって可愛いんだろうなぁ』
「何それ」
『そのまんまだよ、リョーマが可愛いって』
「可愛いじゃヤダ」
ムスッとしたリョーマはよけにいに可愛い。
『でも可愛いよ』
「…ん。」
スッと出された左手。
自分も出せって事?
とりあえず私は右手を前にだした。
リョーマはその手を自分の方へ引っ張って、私の唇を寄せた。
リョーマとの距離わずか2p。
もう感覚的には触れている。
リョーマの息がかかるなかで
「…あんまり可愛いって言っちゃダメ。俺だって男だよ、名前なんて簡単に襲えるんだから」なんて言われて普通でいれる訳がなかった。
「なに照れてんの」
『だって…!!』
「アンタこそ可愛いから」
ふわりとリョーマの唇と重なった。
「じゃ、また後でね」
『…////』
恥ずかしくて頷く事しか出来なかった。
†††
《今日、忘れてたけど家の人帰って来ないんだよね。だからさ、かわりにご飯つくって》
ってリョーマからのメールがきたのはついさっき。
…もう着替えて出て行こうとしてたのに。
私の親はあまり厳しくないため、友達の家に止まるかもしれないっていったら了解してくれた。
リョーマの家に何があるか分かんないし使って良いのかも分からないから、とりあえず買い物しないとダメか…。
近くのスーパーに寄る。
…でも料理なんて全然出来ないんだけど。
作って、なんて言われてもどうすればいいか分かんない。
茶碗蒸しとかが良いのかもしれないけどあいにく私には無理だ。
誰でも簡単に出来るものですら危ういのだから。
……私で、出来そうなものって何だろう?
オムライスかな?
それなら菊丸さんに聞くのが良いよね。
玄関前で電話をかけた。
《もしもし》
《もっしもし〜、名前ちゃん?》
《はい、オムライスの美味しい作り方を知りたいんですが…》
《オッケー!!おチビにつくるのかにゃ?》
《なっ!?////》
《おっ!図星だにゃ?》
菊丸さんにからかわれたけど、ちゃんと作り方は教えてくれた。
最後には、愛情があったらなんでも美味しいよんっ♪って付け足しで。
スーパーに行って、卵とか必要なものを買った。
…ケチャップくらいあるよね?
だからいいか…。
じゃあ全然買うもの無いじゃん。
なんとか買い終わった。
…ふぅ。
少し疲れたため、外のベンチで休憩。
紅茶と可愛らしい小さなドーナツをひとつたべた。
あと1分やすんだら行こう。
「あれ?名前ちゃんだよね」
「不二先輩っ!こんにちはです」
「どうしたの、こんな所で」
「ちょっと休憩です」
「そっか、そのドーナツ美味しそうだね。ひとつ貰っていいかな?」
「はい!どうぞ」
不二先輩にドーナツを手渡した。だけど食べる気配はなく携帯を取り出してカメラ機能を起動させる不二先輩。
…写真とるのかな?
「名前ちゃん、カメラみて?」
「あ、はい」
いつの間にか携帯をもった不二先輩の腕が肩にまわっていた。
「はいチーズ」
カシャッと機械音をたてて写真はとれたみたいだ。
「よし、完璧」
「?」
「名前ちゃんの写真うつり良いよ、可愛いね」
「あ、ありがとうございますっ!!」
不二先輩の雰囲気は爽やかでカッコイいけど、どこか艶やかだ。
「これでよし、っと!」
「何したんですか?」
「越前に写真おくったんだ」
「リョーマに?」
「怒る越前の顔がみたいなぁ」
まさか不二先輩、リョーマが怒るの前提であんなに急に顔を近づけて写真をとったのか。
…言っては何だがリョーマは、ヤキモチをやきやすいタイプなんだ。
あの写真をみたリョーマの家
にこれから行くのって、大変だ。
怒ってるんだろうなぁ…。
そのあとすぐ不二先輩とは分かれた。
…嵐みたいに急にきて、急に行っちゃったなぁ。
速くリョーマの家に行かないと。じゃないともっとリョーマは怒りそうだ。
小走りで家まで向かった。
家の前までつくと、リョーマに連絡のメールをいれた。
いつもならリョーマが出て来てくれるんだけど今日は違うくて、メールで勝手に中に入って来てって連絡がはいった。
勝手に入るのは勇気がいったが何とか入る事ができた。
…あれ?前に来た時よりも靴が一つ増えてる…?
リョーマのかと思ったが靴の大きさが違う。
誰のだろう。
「リョーーマ」
軽く呼んでみると、適当な返事が帰ってきた。
「あ、本当に料理作ってくれるんだ」
私の手元を見ながらそういった。…どう言う事ですかリョーマさんよ。あなたがつくれと言ったんじゃないですか…。
まぁ、いつもの事だから良いけど。
…リョーマに甘いな私。
台所まで行って荷物をおく。
「何つくってくれんの?」
「ん?オムライスだよ」
「へーー」
「何その反応、料理なんて出来ないもん…!そもそも急に言ったリョーマが悪いんじゃん!」
「別に何にも言ってないだろ」
「ンンンッ!!」
ムスッとした顔でリョーマを叩いた。
「茶碗蒸しとかが良いかなとか思ったけど出来ないんだもんっ!!私には別に取り柄なんてないし…、うた歌えないし、絵ヘタだし馬鹿だもん」
「名前をせめてないだろ?…それに取り柄ないなんて言うなよ。」
甘い言葉をつぶやいて名前を抱きしめた。
「名前は可愛いからそれで十分。あと、俺の彼女っていう取り柄あるじゃん」
「…何それ」
軽く私が笑うと、うるさいよって照れながら怒られた。
リョーマ…可愛い。
「そだ、リョーマ今何時?」
「ゴメン今、時計壊れてて分かんない」
「携帯は?」