短編、中編

□勘違いハット -2-
1ページ/2ページ

「最悪」

『なにが最悪だ!兄貴だぜ』
記憶をたどれば蘇る風景。
…あの優しくなくて意地悪だったリョーガだ。

…帰ってきてたんだ!


『おいおいチビ助、名前に俺が帰ってきてる事いって無かったのかよ…!』

「いってどうするの?」

『普通、連絡するだろ』

「…はやく出てってよ」
おいおい、それは無いだろうって良いながらリョーマの頭をワシワシ。
そのまま隣に座りこんだリョーガ。

「久しぶり!大分カッコ良くなったよねっ!!」

『俺は昔からイケメンだっ!』
誉めたのにデコピンされた…。

「じゃあ、もっとカッコ良くなった!!」

『それでよし』
私に手を伸ばして頭をワシワシされた。
…あ、懐かしい。
たしかリョーガの癖だったよねコレ
懐かしくて、昔の余韻に浸りたかった私は頭に乗ったリョーガの手を自ら抑えた。

『ん?なんだ、デレ期か?』

「懐かしいなぁって」

『じゃあ懐かしいついでに、また一緒に風呂はいるか?』

「いいねぇ」

「良くない!!!なにいってんだ名前っ!絶対俺が許さないし、昔入ってたのかよっ!!」

『知らなかったのかチビ助。俺は名前の全裸みた事あるんだぜ』

「ちょっとリョーガ!!」
私が制したけど遅かった。
リョーマは怒ってる。
ずっとリョーガをにらんでるし。
「…なんでリョーガなんだよ」

「…リョーガなんかに裸みせんなよ」

「……リョーガに触れるなよ」

「俺でいいじゃん」

「名前の全部は俺のでしょ」

「もう、やだ。…知らない」
一言いって外に出ようとしたリョーマを引き止める。
腕を掴んでとめたら逆に引っ張られて部屋の外に出された。
そのまま壁にドンって押さえられて、至近距離で見つめられる。
だけど相変わらずのふてくされている顔だった。

「俺ちゃんと知らないって言ったからね」
言葉の意味が分からないまま、リョーマの唇が触れる。
最初は軽くだったが、徐々に激しくなっていく。
…初めての事に緊張して少し震えてしまった。
それに気づいてかリョーマは唇を舐めながら私の手をにぎる。

もう片方の手を後頭部に回されて息は出来なくなった。
息をしたくても、唇は塞がっているし鼻でしていいものかと思い出来なかった。

「…っ…」
息が出来ないと伝えるためリョーマの肩を叩いたが、反応はなし。徐々にしんどくなっていくと同時に快感がうまれ、立って居られなくなった。
床に座り込めばリョーマは覆い被さるようにキスをする。


「っは…!」
唇が離れたら即座に息を吸い込む。激しく運動したみたいに心臓がバクバクいっている。
…これはどう言う意味だろう。
ただ息が足りなかったのか、はたまた緊張からなのか。


「リョーマ?」

「なんだよ名前。リョーガとなんか話さなくていいじゃん。それに……さ。」
途中まで言うと険しい顔をして、黙ってしまった。

「それに?」

「…何でもない」

「あるでしょ?言って」


「……名前は誰の彼女?」

「リョーマのだよ?」


「ならあんまり俺以外の人の仲良くしないでよね。…だってくる途中に菊丸先輩とも不二先輩とも話したんでしょ。俺の知らない所でさ…それに名前は無防備すぎるんだよ。不二先輩は特に気をつけなきゃいけないのにさ。今だってほら、リョーガと仲良くやってさ。…俺だって嫉妬するんだから」

「嫉妬って女がつくけど、男だってするんだから…」

「ゴメンね?……でも好きなのはリョーマだから。絶対浮気なんてしないし、させないよ」


「うん、分かってる」
分かってるんだけど嫉妬はしちゃうんだよ。名前が好きだから。





(さっきのキスの写真、不二先輩に送っていい?)
(やだ!!ってか撮ってたの!?)
(…あ、ゴメン送っちゃった)
(絶対、ワザとだぁぁぁ!!)




→あとがき
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ