長編(幸村・謙也)

□ヘタレ3
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「謙也が初めて、好きって言ってくれた」
そう言ってまた名前は泣いてしまった。

「…ゴメンっ!泣かせるつもりじゃ…」

「ちゃう。これは嬉し涙やから」
好きってただ一言で泣いてくれる名前。
そんな短い言葉で泣いてくれるって事はよっぽど悲しい思いさせてたんかな。
情けな。よう名前は今まで不満を言わずに我慢してくれてたな。でも、もう我慢させたくない。
幸せに…なるんや。名前は。



「今まで色々ゴメンな?不安にさせたし、悲しい思いもさせた。いっぱい泣かせたとも思う。…ホンマにすまん。俺は名前の事がものごっつい好きやし、ずっと名前の事を考えてた。名前が隣にいてる時は何時でもドキドキしたし、手だって握りたいって思ってた。寒がってたら俺が暖めてやりたいって思って手を伸ばそうとした。…せやけど俺はヘタレで名前に自分の気持ちも言いたい事もしたい事も全部言えなかったし出来なかった。今だってこうして言えてるのはホンマにこのままやったらアカンって目の前で名前が泣いて、居なくなるって実感がでたから言えた言葉やし。もし、危機的状況に犯されなかったらまだ言えてないと思うねん。…さっきだって涙を拭いてやれなかった。…だからな俺も考えてん。どうやったら名前が幸せになれるか。」
最後の一口の水を口に含み、ゆっくり目をとじて勇気を貯めたら飲み込んだ。

「…それは、俺がヘタレを卒業する事や。」

「せやけど卒業するには時間かかると思うねん。…経験も必要やろ?だからな俺が考えて出すベストな答えは…」
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