長編(幸村・謙也)
□ヘタレ4
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「!!?」
何が起きているんだろう。
頭がしっかりと機能してくれない。
驚いて目を見開いた視界には謙也の目が飛び込んできた。
目は閉じていて、まつげがながい。カッコイい。
掴まれた手からは謙也の熱い体温が伝わってくる。
暫く状況がつかめないでぼーっとしていると、ようやく頭が機能し始めてくれたのか、わかってきた。
唇から体温が伝わる。
超至近距離で謙也の顔が見える。
これって……さ。
キス?
こんな条件が重なってキス以外な訳ないよね。
あぁ…うち今謙也とキス…してるんや。
「……ん」
謙也と唇が離れると何事やっ!って位赤い謙也の顔。
まぁヘタレ謙也が…ねぇ…
「っっ!!?」
ぼんやりとした感情から抜けるとキスをしたって出来事だけが頭に残る。
「え、今謙也…え?」
「…っるさいっ!!///////」
「…夢じゃない…よね?」
「当たり前やっ!!俺のこの勇気を夢にすんなっ!!//////」
「…謙也いま、ヤバいで?赤なりすぎやろ///」
「当たり前やっ!!俺のファーストキスや!////」
「そんなん言うたらうちも初ちゅーやし///」
謙也からの大胆な行動に驚いたのは唇が触れ終わったあとだった。
「なんで謙也は、キスしてくれたん?うちが出した条件では侑士くんに連絡したら別にキスしなくてもよかってんで?」
「…東京行って、色々あって、もし侑士とキスする事になったら…って考えてさぁ、最初に名前を好きになって名前の良い所に気づいた俺よりも先に侑士がキスすんの嫌やなぁーって。」
「しかも名前のファーストキスを侑士にとられるのが嫌やってん////」
「…謙也、大好き」
「そんなん俺もやし」
「あとさ、さっきから謙也さぁうちの顔みて喋れてるよな?」
「え…?」
「ヘタレ卒業?」
「そやったらええなぁ…」
その日は名前と初めて恋人らしい事をした。
可愛い店に入ってふたりでキャッキャッした。
リストバンドのお返しに俺はネックレスを探していた。
どんなんが似合うやろか。
どんなんが好きなんやろか。
名前にはバレないように探して決めた。
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