長編(幸村・謙也)
□ストーリー4
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『立海の部長だからはやく復帰しないと駄目ですねっ!!』
「うん。だけどみんな優秀だから俺が居なくても大丈夫だよ。…たるんでる奴がいたら副部長が制裁を加えるからね」
『制裁…!?』
「そうだよ」
『今度、幸村さんが退院した時に遊びに行きたいなぁって思ったけどやめときます』
「大丈夫だよ!副部長は女の子には手を出さないし、ちゃんとしてれば優しいからね」
『ちゃんとしてれば…?』
「ちゃんとしない時は俺も一緒に名前ちゃんを叱ろうかな」
『そんな怖い事、満面の笑みで言わないで下さい!!』
「冗談だよ」
『お兄ちゃんが恐ろしいって言う理由も分かりますよ…』
「そうかな?普通だよ。……そうだ名前ちゃんは何か趣味とかある?」
俺は名前ともっと仲良くなりたいと思っていた。
あってまだ数日しかたっていないけど、心が惹かれたんだ。
学校にいる女子とは違う雰囲気だし。
あわよくば親密な関係にだってなりたい。
まぁ…友人としてだけど。
『趣味ですか…うーん。雑誌を読んだり、画集とかみたり。あと絵とか書きます。ありきたりですよね』
「そんな事ないよ。俺だって画集は好きだよ。名前ちゃんが来るまで画集みてたし」
ほら、と言って俺はルノアールの画集を差し出した。
『ルノアールの画集だ…!』
「知ってるの?」
『知ってるって言うか、大好きですっ!!私がみてる画集ってルノアールのなんですよっ!!』
「凄いねっ!!趣味があうなんて。病室だって隣だしテニスも好きだし、奇跡だよね」
『はいっ!!奇跡ですっ』
名前は興奮した面持ちで画集を持っている俺の手を握った。
そしてそのまま、同じ趣味の俺に会えた事がどれだけ嬉しいか話始めた。
「そんなに嬉しかったのかい?」
『はい!!だって周りはルノアールなんか名前しか知らないって人ばっかりで…しかも2つも趣味が合うんですよっ!』
「テニスねぇ…」
『やっぱり外出許可がでたら幸村部長のテニス部を見学したいですっ!!』
「是非遊びにきて。そうだなぁ…名前ちゃんにテニス教えてあげようか?」
『良いんですかっっ!スッゴく嬉しいです』
「でも俺、スパルタだよ?」
『幸村部長に教えて貰えるなら全然構いませんっ!』
「そっか。じゃあ俺も教えがいがあるね」
それからは、ずっと名前と喋ったりテニスをしたりする事が多かった。
病院の中庭にでて、俺と名前で2人でテニスをする。
流石にコートはないから試合なんて出来ないけど。
名前の後ろにまわり、フォームを教える。
ふわりと香る髪の匂いは、やっぱり名前を綺麗だと実感させた。
朝おきて、俺の病室に名前が来なければ俺が隣の病室まで通う。
俺が行かなければ名前が俺の所までくる。
そうしてずっと一緒にいた。
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