長編(幸村・謙也)

□ストーリー5
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だから間に入る事は完璧な"邪魔"になるからできない。
それでも良いから邪魔をしてしまいたいと思う。
どうしてだろう?

名前が一通りに、勉強を教えてもらったあとは赤也にブン太が近寄る。
赤也は名前ちゃんってフワフワしてて可愛いぃ〜とか言って頭を撫でる。
そんな事は慣れていないのか、真っ赤になる顔。
ブン太もお菓子をたくさんあげるし。
ポッキーゲームだって共有しようとするし。
まぁ、勿論阻止するんだけど。

だけどブン太は名前が食べているお菓子の端を自分の口に加える。
急の事でビックリして、口を離せばいい事を分からない名前は、くわえたままキョドる。

「んっ、あっ…!!えっ…//////」ってブン太の髪色と同じ顔色にして恥ずかしがる。
羞恥心で足がもじもじと動く。
お菓子をくわえている唇はちいさく動く。
それに加えて、喘ぐような声。

そこにいた真田以外のメンバーは名前の赤面がうつり、顔を背ける。
自分がした事なのに名前の反応が余りにも健全な中学生には影響がありすぎてブン太は口をはなした。

「もうお嫁に行けません…」
そう呟き病室の隅でうなだれる名前。

「大丈夫ですよ」
そう言って柳生は背中をなでる。

「名前さんは、どんな事があっても清くて美しいです。万が一ですがお嫁にいけなければその時は、この柳生比呂士が喜んで名前さんの夫になります」

「…や、柳生さん…///」
柳生のプロポーズともとれる、真っ直ぐな言葉に恥ずかしいながらも喜ぶ名前。

「優しいですね、柳生さん…」
「そうですか?相手が名前さんだからです。ほら、可愛い女性だから必然的に優しくなるのですよ」

「っ!///」
ジェントルマンの柳生がみせる微笑みは、人を不快にさせる笑みとは程遠かった。
爽やかで、女性は好きになりそうになる笑み。
そんな最高の微笑みに足して、程よく筋肉がついている手で優しく頭を撫でる。

俺は名前が柳生に惚れてしまわないか不安で仕方がなかった。
おれが女なら確実に好きになっていたに違いない。

「なかなかやるのぅ、紳士、柳生」
肘でツンツンする仁王。

「やめたまえ仁王君」

「じゃがのぅ、あんな女をイチコロにするようなセリフをいう紳士をだまって見とれんじゃろ?」

「…なんの事ですか仁王君。別に私はアナタみたいに女性と話す事に長けていませんよ?」

「またまたぁ、さっきの、なんじゃったけ?」

「「名前さんだからです。ほら、可愛い女性だから必然的に優しくなるのですよ」だ。柳生の新しい一面がデータに取れて嬉しいよ」

「ナイスじゃ、参謀。あのセリフを頭撫でながら言うやつのどこが女と話すのが上手ない言うんぜよ」

「普通じゃないですか…?」

「アカン…こいつ天然のたらしナリ」

「たらしとは失敬な!」

「じゃあオマンが口説いた##NAM2##に聞いてみるぜよ」
勿論名前が答えるまでもなく答えは分かっていた。
名前の言った言葉は"あんな甘くてキュンキュンするセリフをサラッと何回も言われたら感情が追いつかなくなります"
だった。

その言葉をきいて柳生は、どうしてだろう?と深く考えこんで、仁王は笑って、赤也とブン太はマネをして蓮二は嬉々としてデータをとって。
そして俺は。
精市は。


ビクビクしていた。

名前が好きになったら?
俺といてもどこか上の空で、柳生達がきた途端に喜んで俺なんかは目に入れてくれなくなったら?
それで柳生も名前を好きになって、もう俺の病室に来てくれなくなったら?
一緒に話したこの空間ですら寂しくなっていくのかい?
俺より先に名前が退院したら柳生と仲良くやってもう、見舞いにも来てくれない?
名前の記憶の中から少しずつ、少しずつ、俺が消えてい
くのかい?
…そんなのは嫌だ。


名前にはどこにも行って欲しくない。
俺の側にいて欲しい。

その綺麗な笑みは俺のために浮かべて欲しい。



…どうして俺はここまでして名前の事を気にしてしまうんだ。
それは名前が初めて出来た院内での友達だから…?

なにか腑に落ちない。

本当に俺は名前にもつ感情が友情だけなのか。



違うだろう?


友情以上のものを持っているハズだ。


もっとこう…。
切ないけど甘い。
そんな感情。


そう。





俺は名前が好きなんだ。



だから、蓮二が勉強を教えているのをみて、モヤモヤして邪魔したくなったんだ。


赤也とブン太が名前と喋って居るのをみて不安になったり柳生と居るのをみてたまらなく不安で悲しくて虚しくなったのは俺が名前を好きだから。
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