短編、中編

□紫と白
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※なんか変な感じの話です。




私と裕太くん、どっちが大切なの!?

彼女は僕に平手打ちを食らわしてそう叫んだ。

(どっちもだよ…。)

そうは言えない。だって本当はそう思ってないから。


『もちろん、君だよ』

「じゃあ明日の練習キャンセルしてよ」

(それは違うじゃんか。)
とも言えない。
本当に思っているけど。


『前から僕は裕太くんと約束をしていました。断るのは失礼でしょう』

「でも!!!」

『聞き分けて下さい。』

「じゃあ裕太くんの方が良いんだ…」

『そうは言ってません。』
(思ってるだけで)

「顔に書いてある!!」
(どうやら僕は顔にでやすいようですね)

『はぁ…』
ワザとらしくため息をつけば彼女も気づいた。
感情的になりやすい彼女のせいで僕はいつでもアザがある。
それは叩かれたり物を投げ当てられたりするせいだ。


正直別れたい。


僕にはもう、別に好きな人ができた。
もっと優しくて、キレイな。

その場は穏便にすまそうと僕は裕太くんとの約束はキャンセルできない事だけをつたえた。


「じゃあ別れる!!!」

『……。』

「イヤでしょ?なら断って!!」

『……良い……』

「え?」

『別に良い。前々から僕はあなたとわかれたかったのですよ』



もう一つアザが増えたが別れる事ができた。


『名字さん』

「はい」
綺麗な声で返事する子は僕が好きな子。

『付き合って欲しいんだけど』

「え?」
真剣な眼差しで見つめれば赤面してしまうピュアな名字さん。

「でも観月さんは……」

『ええさっきまでは彼女がいました。が、別れました』

「…まさか」

『はい。僕からフりました』
なんで、とでも言いたそうな顔で僕をみる。

もし問われても僕は素直に言うだろう。



君の親友は嫉妬深くて鬱陶しかった、と。




そう名前の親友は元、僕の彼女。






きっと彼女、怒り狂うんだろうな。
元々そんな性格だし。
特に名前には怒りそうだ。
彼女は名前と凄く親しい。いつも一緒で、見かけるたんびに2人は笑い合っている。


僕に対しては最悪な性格がでるが(きっとそれが彼女の本性)、名前には優しい。



だからこそ、そんな信用している名前に僕を取られたと分かると狂うだろう。






そしてそんな彼女をみれば名前はショックになる。


僕はそれを見ていたい。
いや、勿論名前を助けて好感度はあげたり努力はする。


けど名前と恋愛して行くにあたって、他にも楽しみがある。親友という素晴らしい存在だった彼女との崩壊を僕は眺めていたいのだ。




…それがシナリオ通りに行けば、僕はもっと興奮し快感を覚えるだろう。




正直、自分でも分かっている。
僕は面倒くさい性格だって。





でも誰だってそうだろう?



他人との会話の中で、
(自分って嫌な性格してるなぁ)
って思う事はあるはずだ。

誰にでも良い顔して愛想を振りまいて。
表面では皆に平等ぶっている。
実際はランクをつけて、見下しているくせに。



『名前さん、どうでしょう?僕と付き合ってみませんか』


「……私、」


『正直に言って頂いて結構ですよ』
僕がそうやって微笑みかければ名字は安心したような表情をチラッとみせた。


「…正直いうと、まだ観月さんは友達の彼氏って意識があって…。今までそう言う風にしか思って来なかったから…。だから急には、私の彼氏としては見れないし、はっきり言うと異性としては見てない…。ごめんなさい」


意外にも名前の口から出た言葉はきつかった。
けどそれは文にした場合のみだ。
名前の喋り方はとても丁寧で、丸みがあって穏やかだった。男に媚びを売るようなそこらへんの下衆な女とは違う。
一字一句、丁寧に感情が込められているから聞いていて心地がいい。
それにはっきりと僕をフったのは彼女のためなのだろう。

親友との関係を壊さないためにあえて僕にキツい事をいった。


でも僕はそんなの知らないよ。



“本能で僕を求めるまで、好きにさせてあげる。”



『中々言いますね。名前さん。それでも僕は君が好きですよ。』
名前の考えを分かっているけど僕は知らないフリをする。


『そうですか。…僕って異性として見られてないのですね…ならば』
グイッと距離を縮める。
名前との距離は僅か10pあまりだろうか。

『嫌でも意識させてあげますよ名前さん』

…名前は顔を真っ赤にして走りさった。
僕を異性として見ていないなら、赤面なんてしないですよね




本当に可愛い名前。



必ず僕の物にする。




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