キリリク/お題文
□変態に恋されてしまいました5題
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今日も奴は来た。
よく懲りずに毎日来るなとほとほと呆れてしまう。
だが、今日は何かが違った。
いつもならセクハラ紛いの行為をしてくる奴が、今日は何もしてこずいつになく真面目な顔で俺を見つめてきた。
「俺あんたのこと本気なんです。どうしたらあんたは振り向いてくれるんですか?」
「どうって……」
「毎日来られて迷惑かと思ってるかもしれやせん。でも俺ァ土方さんのことが好きなんで諦めたくないんです」
今まで奴から好きとか何十回も言われてきたが、こんなに真剣に言われたことはない。
それも奴は変態ではあるが、顔立ちは整っており誰もが見惚れるくらいのものである。
俺は不覚にも照れてしまい顔を赤くし視線を奴から外してしまった。
「土方さん顔赤いですけどもしかして照れてます?」
「て、照れてねぇよ……」
「照れてるじゃありやせんか。ふふっ可愛いなぁ」
「なっ…!」
誰が可愛いだと、と反論しようとしたが言葉が出なかった。
何故なら奴が俺に抱きついてきたからだ。
「あーもう食べちゃいたい!!あっ今から俺の家に来ませんかィ!?」
「断る」
奴の危ない発言に俺の顔の赤さも徐々になくなった。
奴は息を荒くし「土方好きだコノヤロー!!」と叫んでやがる。
やっぱり奴は奴なのだと実感した。
(食べちゃうぞが冗談に聞こえません)