儚いからこそ美しい

□寒い日も貴方が居れば
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雨は嫌いじゃない

意外とこの地面が濡れる匂いや雨音は冷静になれる

・・・でも、寒いのは嫌いだ・・・


レ「ふ・・・ぐぅ」

元々寒いのは得意じゃなかった

この心臓になってからは特に苦手になってしまった

まるで体が異物を拒むかのように心臓魔導器が痛みだす

レ「くそ・・・今日は一段と痛む・・・な・・・はぁ」

いつもはすぐに治まるのだが、今日は中々止まない

こんなことは初めてかもしれない

・・・そろそろ寿命かもな・・・

そう思い嘲笑いながら毛布を体に巻きつける

レ「ぐぅ・・・!!」

ユ「・・・オッサン?」

ああ、不覚だった

きっと今の声で青年が起きてしまったのだろう

この何かと鋭い青年はきっと俺の調子が悪いことを気づいている

そうでなければ早めの宿など取りはしないだろう

ユ「どうしたんだよ・・・おい、オッサン!?」

レ「な・・・んでもねーわよ」

ユ「なんでもねーわけないだろ!?
そんな顔真っ青にして!!」

レ「こんな暗いのに顔色なんて、見えるの?」

ユ「勘だ!!」

・・・青年の勘の凄さには舌を巻いてしまう

レ「・・・気のせいよ・・・ただ、寒いだけだから・・・」

そうだ、この寒ささえ無くなってしまえば、きっともう痛くないはずなのだ

だから早く寝てちょうだいと、青年に言うと、何かを考える素振りをした

不思議に思っていると、不意に青年は近づいてきた

レ「な、なに?」

無言のユーリにたずねると、いきなりベッドに入ってきてレイヴンを抱き枕のように抱きしめた

レ「ちょ!?な、何してるのよ青年!!」

ユ「俺も寒い」

レ「は?!」

唐突は言葉に戸惑った

ユ「んで、オッサンも寒いんだろ?
一石二鳥じゃねーか」
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