儚いからこそ美しい
□欲しかったものは全て…
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姉ちゃんはずるい
俺のほしかったものを持ってるから・・・
俺は今オッサンと自分で言っているが、実は女だ
男が欲しかった俺の両親は、俺が女だと分かった時にはひどく落ち込んだらしい
しかも、俺を生んだことで母親はもう子供を埋めない体になってしまった
家を存続させるために、俺は男として育てられたとか・・・
なんとも馬鹿げた話だわ
姉ちゃんはもう周りの人間に女だと知れ渡っているので、そのまま女として育てられた
ヒラヒラのスカートや綺麗なリボン
可愛いぬいぐるみに少し気になっていた男の子・・・
全部ぜーんぶ欲しかったものは姉ちゃんがもっている
羨ましい、と思った
ずるい、なんで姉ちゃんは許されていて、俺は駄目なのと何度も思ったさ
レ「・・・でも、嫌いにはなれないんだよな・・・」
優しい姉はいつも泣きながら謝る
変われるものなら変わりたいとも言っていた
そんな姉を、どうして嫌いに、憎めるものだろうか・・・?
憎めるはずが・・・ない
シ「レイヴン、心臓は大丈夫か?」
俺が一度死んでから姉の過保護は悪化した
まあ、目の前で家族が自分を庇って心臓食われれば、皆そうなってしまうのかもしれないが・・・
レ「大丈夫よ。
・・・心配しすぎだって」
シ「お前が心配なんだ」
まるで恋人にやるかのように優しく頬を撫でられる