芯樹〜シンジュ〜

□Come on,ghost
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 ――これは、幻。


 いや、まだきっと自分は寝ていて、夢の続きを見ているに違いないのだと、まもりは思った。


 だってだって、そうでなければ目の前に居るのは誰なのか。

 けれど、間違いなく、そこにヒル魔は立っている。



 泣きはらして枯れた声で、「ヒル魔くん」と名前を呼んだ。
 彼は、いつものように斜に構えて「あ?」と応えた。


「……どーして、居るの」

 精一杯の音量だったが、かすれた声は聞き取り辛かったようだ。
 しばしの間を空け、彼は「さァな」と言った。

 言ってから、屈(かが)んで頬杖をついて考え込んだ。

 …ナンだっけ、何か忘れている。


「あァ、」
 固唾を飲んで見守るまもりに、彼は言った。


「…そーか、俺、死んだな」





Come on,ghost
【かもん、ごーすと】
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