芯樹〜シンジュ〜

□LEMONed。。。
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 夕暮れの学校の屋上。
お決まりなこのシュチュエーションで、今、勇気ある女生徒がひとり、フラれていた。
「興味ねェ」
 残酷なほどの捨てゼリフに、女生徒は真っ赤な顔を涙で濡らす。
 女生徒の手渡した手紙を放り、スタスタと去っていく男の表情からは、何の感情も読み取れはしなかった。



「まもり…あのね……」
 翌日、男女問わず好かれる風紀委員の姉崎まもりのもとに、泣きはらした顔の女生徒が来た。
彼女は今にも泣き出しそうな表情で、震える声で、昨日起こった絶望とも云える出来事を途切れ途切れに話した。
 すべての話を聞き終わったまもりは、怒りを抑えることができなかった。
「ヒル魔くん!!」
 クラスメイトの注目を浴びるのも構わずに、まもりは金髪の男に怒りをぶつけた。
 蛭魔妖一は、まるで聞こえないかのように、アメフトの雑誌を読んでいる。
「ヒル魔くん、どういう事?」
「あぁ?」
 怪訝そうな声は出たが、目はまだ雑誌に落ちていた。
「ユリエのことよ!」
 この一言で全てを察したのであろう。
やっとまもりの目を見た。
「…こんなトコで話す事か」
 呆れたように呟いて、ヒル魔は立ち上がった。
「だっ…だってっ…、ユリエが…」
「テメーに関係ねェ」
 呼び止めようとするまもりの声も聞かず、ヒル魔は教室を出て行ってしまった。
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