芯樹〜シンジュ〜

□Rainbow shell
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 ──そう、あのヒトは、いつも。


 嫌な雨が続いている。
単調に、降り続けている。
グラウンドは、ぐちゃぐちゃで、どうにも使えないから、今日の部活は早めに終わる事になった。
「明日は、晴れるといいね」
 栗田さんが、残念そうにつぶやいた。

 モン太と一緒に帰ろうとして、部室に忘れ物をしたことを思い出した。
「あ!あれ、明日提出の課題なのに…」
 カバンをひっくり返す僕に、モン太は笑う。
「ドジだな、セナ。取りに行って来いよ。俺、待ってるからさ」
 本当に、どうして僕はこう、なんだろう。
 自分にうんざりしてしまう。
「あ、いいよ、先帰ってて!」
 何故だか遠慮してしまった僕に、モン太は心配そうに「そうか?」と言った。
 なんだか恥ずかしくなって、部室に走り出した。
背中から、モン太がまた明日な、と、叫ぶのが聞こえた。
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