芯樹〜シンジュ〜
□LEMONed。。。
3ページ/14ページ
その紙切れは、端に破いたような跡があった。
ご丁寧に、ユリエの顔写真、住所、生年月日、果ては家族構成まで書かれている。
この攻撃的な筆跡は、明らかにヒル魔のものだった。
これが脅迫手帳でなくて、何なのか…。
「ユリエ、これ、どうしたの?」
まもりが問うと、ユリエはうつむいたまま、「私のロッカーに入っていたの…」と、小声で呟いた。
いぶかしそうな顔をする咲蘭とアコを気にもせず、まもりは「どうして…」と、誰に問うでもない呟きをもらした。
「ねぇ私……完全に嫌われたって事?」
ユリエの声は、震えていた。
目からは、涙がぼろぼろとこぼれる。
泣き出してしまったユリエを、困惑しながら、咲蘭とアコがなぐさめた。
まもりは、ヒル魔のこの不可解な行動を、どうとらえて良いか解らず、とにかくユリエをなだめるように努めた。
放課後になり、まもりはいつもより早く部室へと急いだ。
案の定、部室には午後の授業をまるまるサボったヒル魔だけがいた。
ノートパソコンを開いて、こちらに背を向けて足を組んで座っている。
まもりがドアを開けても、無関心で、こちらを見ようともしない。