novel
□de travers pur
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「………ん……」
ユイが目を覚ましたのは自室のベッドではなかった。
「……ここは…」
(見覚えがあるようなないような……)
薄暗くされた部屋の照明。
お洒落なブレスレットやキーチェーンが並べられたデスク。
…なんとなく予測がついた。
「…あ、起きた?ユイちゃん」
すぐそばから逆巻ライトの猫なで声が聞こえた。
「……ライトくん……」
「大丈夫?どこか痛むとことかない?」
「…いや、それは大丈夫なんだけど…私どうしてここに…?」
ユイは自身のあやふやな記憶を振り返るがよく覚えていない。
「あぁ…何で僕の部屋にいるのかって…?」
「うん…」
ライトはふふ、と微笑すると、
「…僕が君みたいな人間なんかにわざわざ教えると思ってるの?」
「う……」
相変わらずその甘い声でサラリと毒を吐く。
「…まぁいーけど。ふふ…」
ライトはデスクに寄って行き、その上にある小さな空き瓶を手にとる。
「実は、さっきのティータイムの時、ユイちゃんの紅茶に、薬を入れさせて頂きました〜♪」
「……………」
一瞬何を言われているのか理解できなかった。
「……………?」
「…ん?どーしたの?そんな阿呆みたいな顔をして」
「………ライトくん」
「ん?あ、大丈夫だよ?ただの睡眠薬だから。尤も、レイジにもらったものだからちょっと効果が長くて…」
「いや…そうじゃなくて!!」
「何でこんなことを…?」
ライトは不思議そうに小首を傾げ、思い出したかのように喜々として喋り出す。
「あぁそうそう!!ユイちゃんがさっき僕のこと、じっと見つめてたから、もしかして僕にいやらしいことされたかったのかなーって思って」
ユイは驚くよりも先に呆れた。
(…どうしてこの兄弟は揃いも揃って……!!)
そんな事を考えている間に、
「さぁ……ビッチちゃん?何をされたい?」
ライトが自分の上に跨がってきた。
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