novel

□maximun douceurs
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人のいない静まった廊下。




ユイはそこを歩いていた。



紅茶の入ったポットとカップ、砂糖にミルク、そしてマカロンが乗った皿をのせたお盆を手に、彼女はある所目指し歩く。






コンコン。






ある部屋の扉を二回ノックする。




「カナトくーん、お菓子持ってきたよー」



「…どうぞ、入って下さい」





扉を開けると−−−。






逆巻カナトがベッドの上に座り窓の外を眺めていた。







「今日のお菓子は何ですか?」



カナトはこちらを振り返って言った。



「マカロンだよ」



するとカナトは少し表情を曇らせた。



「…そう…ですか」



(え…………?)
「……まさか、マカロンは嫌だった?」


カナトの気を悪くしてしまったら、とユイは少し身構えた。



「いえ、マカロン自体はすごく好きです……ただ」




「…………ただ?」



カナトはまた窓の外に目をやる。






「…今日は、甘いものを食べる気分ではないといいますか…」






ユイは持っていたお盆を落とすかと思った。



(…あのカナトくんが、甘いものを欲しがらないなんて…!!)




泣いたり癇癪を起こした時にはお菓子をあげれば全ておさまるとまで言われ、実際にそのやりかたで彼をずっとなだめてきた。




そんなカナトが、甘いものを食べたくないと言うなんて。




「…?何をほうけた顔をしているんですか?馬鹿みたいですよ?」



「え?あ、ごめんね!!じゃあ…何がいい?」




「…そうですね…たまには塩っぽい味のものが食べたいです」




「…塩っぽいもの…?」
ユイは少し考え…



「…あ、そうだ!」



良い案が閃いた。




「じゃあちょっと待ってて!作ってくるから!!」





ユイは小走りでカナトの部屋を出て、キッチンへ急いだ。











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