Harry Generation

□グリンゴッツ
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「ダイアゴン横丁にようこそ。」
ハリーが驚き、リオが目をキラキラと輝かせているのを見て、ハグリッドがニカっと笑いながら言った。
そばの店の外に積み上げられた大鍋に、陽の光がキラキラと反射している。上には看板がぶら下がっている。
【鍋屋_大小いろいろあります_銅、真鍮、錫、銀_自動かき混ぜ鍋_折り畳み式】
「一つ買わにゃならんが、二人共まずは金を取ってこんとな。」
とハグリッドが言った。
リオは、夢のようだ、と思い、あたりを見回しながら歩いた。【イーロップふくろう百貨店】も、ショールームに〈ニンバス2000〉が飾られている箒屋もあった。
「グリンゴッツだ。」
リオがハッとして前を見ると、グリンゴッツがあった。
ハリーもリオも、もちろんグリンゴッツに来るのは初めてだった。賢そうな顔つきの小鬼は、受付の小鬼を除いてだが_リオとハリーが来ても、そのまま黙々と作業を続けていた。
人間界では数兆円はする位大量のルビーを秤にかけている小鬼や、金の延べ棒の重さを計っている小鬼もいた。
受付の小鬼に、ハグリッドが声をかけた。
「ハリー・ポッターさんとリオ=ジゼルさんの金庫から金を取りに来たんだが。」
「鍵はお持ちでいらっしゃいますか?」
「どっかにあるはずだが。」
ハグリッドはポケットをひっくり返し、中身をカウンターに出しはじめた。かびの生えたような犬用ビスケットが一つかみ、小鬼の経理帳簿にバラバラと散らばった。小鬼は鼻にしわを寄せた。ハリーは右側の方にいる小鬼が、まるで真っ赤に燃える石炭のような大きいルビーを次々と秤にかけているのを、リオは左側の方にいる小鬼が、氷のような物体で覆われた何かを虫眼鏡を使って吟味しているのを見ていた。
「あった。」
ハグリッドはやっと出てきた2つの小さな黄金の鍵をつまみ上げた。小鬼は、慎重に鍵を調べてから、「承知しました。」と言った。
「それと、ダンブルドア教授からの手紙を預かってきとる。ハグリッドは胸を張って、重々しく言った。713番金庫にある、例の物についてだが。」
小鬼は手紙を丁寧に読むと、「了解しました。」とハグリッドに返した。
「誰かに両方の金庫へ案内させましょう。グリップフック!」
グリップフックも小鬼だった。ハグリッドが犬用ビスケットを全部ポケットに詰み込み終えてから、2人はグリップフックについて、ホールから外に続く無数の扉の1つへと向かった。
「713番金庫の例の物って、何?」
ハリーが言った。
リオは、何か分かっていたが、やはりハグリッドは、
「極秘じゃ。ホグワーツの仕事でな。ダンブルドアは俺を信用してくださる。おまえさんにしゃべったりしたら、俺がクビになるだけではすまんよ。」
と言った。
グリップフックが扉を開けると、トロッコが勢いよくこちらへ向かってきた。
リオ達がトロッコに乗り込むと、トロッコは勢いよく発車した。
ジェットコースターのように揺れながら走るトロッコに、リオとハリーは大興奮だったが、ハグリッドは顔を真っ青にしていた。
途中でハリーが、
「僕、いつもわからなくなるんだけど、鍾乳石と石筍って、どう違うの?」
途中聞くので、リオはハグリッドの代わりに
「鍾乳石は上から吊り下がってる。石筍は下から生えてるやつ!!!」
と答えた...というか叫んだ。
小さな扉の前でトロッコは止まった。中にはジェームズとリリーが遺した財産がたくさん入っていた。ハリーがお金を取り出したあと、30秒位歩くと、ハリーの金庫より一回り大きい扉があった。
そこを開けると…
ハリーの50倍はある、ガリオン金貨、シックル銀貨、クヌート銅貨がキラキラと輝いていた。
「うわぁ〜...すっごい...」
ハリーは驚きと感動の入り混じった声で言った。リオも驚きを隠しきれない様子で目を見開いていた。
「ねえ、ハグリッド。私の家って、旧家なの...?」
リオが聞くと、ハグリッドはとても驚いた様子で
「あぁ、おまえさんも、自分の家の事を知らないのを俺はすっかり忘れとった。旧家の中でも旧家だ。あのマルフォイ家も、ブラック家も逆らえんよ。ジゼル家には。」
と言った。

あのマルフォイ家も逆らえない...?
どれだけなんだ、ジゼル家は。
まあいっか。これでマルフォイにガンガン怒っても平気か〜。
なんかつまんない気もするけど。

なんて考えていると、ハグリッド達はトロッコに乗り込んでいた。
慌ててトロッコに乗ると、トロッコはまた、下へ下へと走っていった。
ハリーがトロッコから首を出して下の方を見ていると、ハグリッドが襟首をつかんで引き戻した。(ハリーはとても残念そうだった。)
713番金庫には、どこにも鍵穴が無かった。
「下がってください。」
グリップフックがもったいぶって言い、長い指でそっとこすると、扉は溶けるように消え去った。
「グリンゴッツの小鬼以外の者がこれをやりますと、扉に吸い込まれて、中に閉じ込められてしまいます。」
とグリップフックが言った。
「中に誰か閉じ込められていないか、時々調べるの?」
とハリーが聞いた。
「10年に一度ぐらいでございます。」
ニヤリと笑うグリップフックを見て、リオは背筋に悪寒が走るのを感じた。
リオは何が入っているか知っていたが、ハリーは宝石かなにかが入っていると思ったらしく、身を乗り出して見ていた。
ハグリッドが羊皮紙にくるまれた〈賢者の石〉をコートにしまい込むと、ハリーは何か聞きたそうな顔をしていたが、聞かない方が良いと思ったのか、何も口に出さなかった。
「行くぞ。地獄のトロッコへ。帰り道は話しかけんでくれよ。おれは口を閉じているのが一番よさそうだからな。」
ハグリッドが呻くように言ったので、2人も金庫を後にした。

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