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□何故?
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〜B side〜
「おいおい…マジかよ」
殺した人間が生き返った。
しかも、溶けるように氷柱が消えた。魔法は解除してない。
溶ける要素などどこにもないのに。
目の前の事態に驚きと共に別の感情が湧き出る。
「へぇ…おもしれーじゃん」
くるりと体の向きを変え、あいつのとこへ向かう。
あいつは血の付いた自分の手をじっと見つめている。
すると、ヒュゥッと音が聞こえたあとに小さな声で
「また…死ねなかった」
と聞こえた。
どうやら、死にかけるのはこれが初めてではないらしい。
あいつの顔を上から覗き込むようにして立つ。
すると、俺に気付いたようでこちらを見る。
「お前、なんで生きてやがる?」
聞いてみた。ただの興味本位。
あいつは青い瞳でじっと見つめる。
「……」
俺を見つめたまま動かない。何を考えているか全く分からない。
本当に俺を見ているのか?俺を見たまま微動だにしない。
段々、苛ついてくる。
「おい、答えろよ」
あいつの髪を掴み、持ち上げる。
すると、突然目の前が歪んだ。
全身の力が抜け、ガクッと片膝をつく。眩暈が襲ってくる。
「な、んだ…?」
とっさにあいつの髪を掴んでいた手を離す。
ドサッと倒れる音と共に眩暈が治まってきた。
(今、何が起こった?)
片手で頭を押さえながら考える。
が、まだ頭がぼーっとしてうまく考えられない。
「……あまり近寄らない方が良いよ」
と声が聞こえた。無機質な言葉の羅列。さっき聞いたこいつの声だ。
顔を上げるとそいつは変わらず真っ直ぐ俺を見ていた。
「…あ?どういう意味だ?」
そいつは淡々と言葉を繋ぎ始めた。
「ぼくは病気なんだ。ぼくに触ると病気が移って皆死んだ。」
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