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□ある日のこと
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〜B side〜
(しっかし、何もねぇな。つまんねーの)
とあるスラム街を一人歩く
。何か面白そうなものがあればそれを壊す。退屈なものがあっても壊す。
理由なんて無い。破壊衝動とも言えるその感情。それを何かにぶつけたくなり、このスラムに来た。
何もかも壊そうと思った。
だが、もうそこには何も無かった。
地面には人が倒れている。この街全ての人間が倒れ、息絶えていた。
「つまんねぇ…」
この場を離れようとしたとき何かを感じ、ふっと前を見る。鳥のようなものが見えた。
(ルフか…。生きている奴がいるのか?)
ゆっくりとルフが見えた所へ向かう。
そこに生きているものの気配は感じない。
目の前にあるのは地面を埋め尽くすほどの死体。
しかし、視線を感じる。よく見ると死体に混ざってこちらを見ている奴がいた。
白髪の子供が仰向けに倒れている。そいつの青い瞳と目が合った。
「…お前、生きているのか?」
声をかけてみる。ただの気まぐれだった。返事なんか来ない。そう思っていたが、
「−−−」
ポツリと確かにそれは答えた。
その言葉に感情など込められていない。無機質な言葉。
(つまんね…)
退屈なものは壊してしまえ、衝動のままに。
右手にマゴイを集め、氷柱を作る。
そして、それを飛ばした。ドスッと音が響き、氷柱はそいつの胸に突き刺さった。
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