black/white
□転機
2ﾍﾟｰｼﾞ/2ﾍﾟｰｼﾞ
〜B side〜
面白いもんを見つけた。
（とりあえず、もう一度試すか）
杖を取出し、いくつか氷柱を作る。
そして、思いきりそいつに向かって飛ばす。
ドスッと音が響く。
「うっ、あ…」
と声が聞こえた。
今度は一発で決めれなかったようだ。
そいつは動かなくなった。が、すぐに変化は見れた。
体に刺さった氷柱が小さくなっていく。
あいつの目もまた開いて、消えていく氷柱をじっと見ている。すると
「ゲホッ！」
と咳き込み、血を吐き出し始めた。
傷跡を見ると血で赤く染まっていて完全に塞がっているのか分からないが出血しているようには見えない。
とにかく治癒は早いみたいだ。
（大体こんなもんか）
と考えていたらあいつと目が合う。
ハァ…、ハァ…と息を切らしながら俺を恨めしそうな目で見ている。
そんな目もできるのか。
少し笑える。
「大体は予想通りだな…ん？」
雨が降ってきたようだ。
空を見ると黒い雨雲がある。
一気に雨脚が強くなる。
「スコールか、丁度いい」
もう少し、試してみよう。
腕を上に伸ばし、雨を集める。
スコールのおかげで水が早く集まった。
大体、一人が入るくらいの大きさになる。
（こんなもんか）
丁度良い大きさの水の球をあいつにむかって放り込む。
ザブンッと簡単にあいつは水の中に入った。
ゴボゴボとあいつの口から空気が漏れていく。
「まだまだ、これからだぜ」
杖を構える。
「凍れ！」
水の球は凍っていく。
もがいていたあいつも動かなくなる。
そして、大きな氷ができた。
氷の中には眠っているように目を閉じている子供。
「さてと、溶ける前に持っていくか」
俺の予想ならこんな風になってもこいつは死んでいないはずだ。
氷が溶けたらまた目覚める。
次はどんなことをしようか…
「次、目覚めるときは少しぐらい俺の暇つぶしになれよ」
楽しみになってきたぜ。