long dream

□虹
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#1 rainy day



『...っあ〜!!終わったぁ。』

「美穂ちゃん、お疲れ。」

『お疲れ様です。
社長、私終わったんでかえります!』

「ほい。じゃあしっかり休めよ〜
明日は大事なプレゼンだからね。」

『はいっ!じゃあ。』

私は眠かったが元気に声を出した。
昨日、徹夜でプレゼンの原稿を
書かされた。
おかげで寝不足...。
そんなことを思いながら外に出た...

『...あれ?雨?うわっ。どうしよ。
傘なんかないよ〜。』

天気など知らなかった私は考えた。
考え、考え、考えた
...がいい案が浮かばない。

『...っ、よし。もうあれしかない。
つっぱしるのみ!!』

「ちょ、ちょっと?大橋!?」

『ん?あ!二宮さん!おはようごさいます。
どうしたんですか?』

「どうしたって...。
女の子が雨のなかで
走って帰ろうとするところを
放っておく男はいないでしょ?
俺も帰るとこだから、入りな。」

あぁ、なんて優しい人なんだ。
救世主?神?なにもの?
相合い傘なんてあれだけど...
今は気にしてる場合じゃない。
眠いうえに寒くはなりたくない。

『じ、じゃあ。お言葉に甘えて...。』


───しばらく歩けば雨は上がった。
空は真っ青で綺麗だった。
けど、もっと綺麗なものがあった。

「あっ。虹。綺麗...。
そうだ!写真とろ…う...。
あ。忘れてきた。ショック〜。」


カシャッ。
となりでは虹を撮る二宮さんがいた。

(うわぁ。横顔きれーっ。)

みとれるものがかわっていた(笑)
写真を撮った二宮さんがこっちをみた。
しばらく見つめあった。
正確にいうと私はそらせなかった。

「大橋。そんなにみつめる?
欲しいなら素直にいいな?」

急に聞こえた二宮さんの声に驚いた。

『っ?へ??
あ!写真ですか!?あ!下さい!!』

「じゃあ、連絡先ちょうだい?
帰ったら送るから。」

少し笑われたが、
私は素直にうなずき連絡先を書いた紙を渡した。



そう。
これが私たちが名字を重ねるきっかけになった日。

きれいな虹と横顔をみつけた。
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